生成AI・チャットGPTについて(その3)

前回は
ChatGPTの誕生から、
対話型AIに関する諸々についてお話ししました。
(ちなみに対話型AI=生成AIで、
どちらも同じものを指しています)

前回の記事をご覧になりたい方は
以下をクリックしてください。

→ChatGPTについて(その2)

今回は
①日本の企業が、この対話型AIに対し
どう向き合っているのか?

②教育と関連のある企業が、
どう対話型AIを活用しているのか?

➂私たち人間は
AI教師とどう付き合っていくのか?
そして、
AI時代を生き抜くために
教師としては
どんな力をつけていくべきか、

などについて考えます。

①日本企業の生成AIの活用状況

2023年7月、
日本経済新聞が日本国内の主要企業100社に
生成AIの利用に関する調査を実施しました。

100社のうち、94社から回答を得、
その中で、AIを使う予定のない企業は
たったの1社だけだったそうです。

では
どんな企業が生成AIを
利用しているのでしょうか。

●NECでは5月から
すでに生成AIの利用を始めており、
今では
グループ会社を含む全社員の四分の一にあたる
約2万人が活用しています。

●AGCも6月に全社員約7000人が
利用できる体制を整えています。

●ファミリーマートは
2023年以内に、
全社員の5割が利用できるようにし、
2025年までには
全社員が活用できるようになる、
現時点では
ここを目指しているとのことです。

●富士フィルムホールディングスも
2025年までに、
過半数の社員に対して導入予定と語っていました。

●ソフトバンクでは
5月の時点で、
すでに2万人の社員がチャットGPTを
活用しています。

いくつかの会社の例を挙げましたが、
では、
すでに取り入れている会社では
具体的に、
どのように活用しているのか、
その方法を見ていきます。

各企業の生成AIの具体的な活用法

●ソフトバンクでは
様々な使い方を模索しています。

マーケティング部では
イベントのキャッチコピーを
AIで作っています。

AIが登場するまで、
イベントのキャッチコピーは当然
人間の手で作っていました。

例えば
2023年のキャッチコピーは
「ニッポン、変えテク」です。

AIが登場した今年は
来年度のキャッチコピーを
AIに作成させてみたのです。
650ものキャッチコピーを
AIに出してもらい、
その中から選んだのが

「テクノロジーの新潮流、
今、世界が動き出す」です

専門家ではないので、
どちらがいいのか、私には
優劣はつけられません。が、
AIの作品、「すごいな」
というのが率直な感想です。

作成時間を比べてみると
人間の手で考えていた時には、
一つのキャッチコピーを作るのに
2か月かかっていたそうです。

ところが、
AIの力を借りた今年は
半分の期間で作成できたと言っていました。

この部署の方は
「AIを活用すると、
私たちの業務効率が
加速しているのを感じます。
仕事をサポートしてくれる相棒、
それが生成AIかな」と語っていました。

●ウェルヴィル(株)では
高齢者の見守りに
対話型AIを活用しています。

例えば

AI  :今日のお昼ご飯は何を食べるの?
高齢者:冷やし中華。
AI  :冷やし中華はおいしいですね。
・・・・好きな具材は?
高齢者:錦糸卵かなあ。


このように、
AIが高齢者と自然な会話をし、
できれば、高齢者の方々の
言葉のうちにある寂しい感情をくみ取り、
離れた家族に知らせる、
といったサービスを提供していきたい、
と語っています。

●メルカリでは
以下のような活用法を計画しています。
(一部のサービスはすでに始まっているそうです)

客:父の日のプレゼントは何がいい?
AI:お父さんの趣味や好きな色は?
客:父はゴルフが趣味で、好きな色は青かなあ・・・
AI:では、私のおススメはこちらです。

●大和証券では4月にChatGPTをを導入しています。
約9000人の全社員一人一人が
模索しながら、自由に活用しています。

Aさんは
英語の契約書の翻訳と
重要な部分の抜き出しに使っています。

感想として
「使えば使うほど、なくてはならないものに
なっていきます」と語っていました。

Bさんは
文章の修正や改善に使用しています。
ChatGPTは
役割を与えると精度が格段に上がるので、
時には、ChatGPTに
経営者という立場を与えて、
文章を書いてもらうこともあるそうです。

感想としては
「個人的にはChatGPTは
働き方のゲームチェンジャーになる可能性があると
感じています」とのことでした。

では、次に
教育関連の企業では
どう生成AIを活用しているのかを
見ていきましょう。

教育関連企業の生成AI活用法

●東進ハイスクール

林修先生で有名な東進ハイスクールでは
ChatGPTを活用して、
英作文を添削する機能を開発中で、
ほぼ完成とのことです。

この秋に
高校生向けのクラスから導入が始まります。

●ベネッセホールディングス

ベネッセでは
すでに7月25日からChatGPTをを活用し、
子供たちの夏休みの「自由研究」の
「テーマ決め」や「自由研究の進め方」を
支援するサービスを始めています。

将来的には
進路指導でもChatGPTの活用を考えているそうです。

●学研ホールディングス

学研では
メタバース(仮想空間)上の学習サービスで、
生徒が過去一週間に取り組んだ
問題数や正答数をもとに、
彼らを励ますメッセージを
ChatGPTを使って出すようにしている、
とのことです。

例えば
「加法・減法の理解度が上昇しました。
おめでとう!」
などのコメントを表示します。

●東京のとある学習塾

この塾では
AI(人工知能)搭載のデジタル教材を使っています。
科目としては
英語・国語・数学で活用しているとのことです。

授業のやり方としては・・・

各机に、タブレット端末が置いてあります。
生徒は各自の席に着くと、
まず、
タブレット端末に表示される
AI先生の授業を受けます。

AI先生の授業を受けた後は、
端末に表示されたドリル問題を行い、
AI先生の授業を
どれだけ理解できたのか、
各自で確認します。

これだけを見ると、
一切教師がかかわっていないようですが、
そうではありません。

教師の手元の端末には
生徒たちの学習の進み具合が
一覧で表示されます。

生徒が問題を解くのにかかった
時間や正答率、
また、
一定の時間手が止まっている
といったことも、
一目でわかるようになっています。

教師は
こうした生徒一人一人のデータを確認し、
状況を見ながら
その生徒に合った声掛けをしていく、
といった具合です。

AI教材を制作している会社の
これからのAIに対する展望

AI教材を作成している会社は
以下のように述べています。

AI教材の一番の狙いは
「先生の見える範囲を広げることです」
と語っていました。

一体どういうことかと言うと・・・

学習データを分析すれば、
様々なことがわかります。

例えば、
数学を苦手とする生徒が
補強しなければならないのは
一次方程式なのか、
図形なのか、
データ分析から
細かい弱点が分かります。

宿題の取り組み状況からは
教室外での学習習慣が把握でき、
学習量のグラフ化などもできます。

先生は
各生徒のこうしたデータを
一覧で見ることができるのです。

これが
「先生の見える範囲を広げる」
ということです。

また、
コロナ禍で生徒は
オンライン授業を経験したため、
「対面授業でなければ不安だ」
という意識も変わった、
と話していました。

こうした意識の変化も手伝い、
AI化の流れは
加速しているそうです。

もし、AI教師がいたら?

私たち教師がAI時代を生き抜くために、
求められる力とは?

AIが各学習者の学習データを
管理してくれれば、
そして、
宿題の採点なども任せられれば、
教師の仕事量を減らすことができます。

その分、
教師は学習者一人一人と
対話する時間を増やすことが可能となります。

また、AIは
学習者がどこを間違えたのかを
見つけ出すことはとても得意です。

しかしながら、
どうして間違えたのかを
解説することは、まだできません。
(表面上は同じ間違いでも、
間違った理由は一人一人違うからです)

そこで、
AIが見つけ出してくれた間違いを
教師が丁寧に解説する、
といったAIとの二人三脚的なことも
考えられます。

また、AIは
学習者を励ますこともできますが、
それは一律的な励ましにすぎません。

私たち人間の教師は、
一人一人の学習者をよく観察し、
彼らの性格によって、
モチベーションのあげ方を
変えることができます。

学習者との信頼関係を
築けていければ、
やはり、
学習者一人一人に対する
きめ細やかな応援は
人間である私たちにしかできません。

こう考えてくると
これからの教師にとって大切なことは
学習者との信頼関係を築く力、

学習者一人一人の個性を見抜く力、
そして、
学習者の個性に合った教え方、
応援の仕方ができれば、
AIが入ってきても
問題ないと言えます。

 

ここでは
AIのメリットに関して
主に書いてきました。

AIは、
いいところもたくさんありますが、
大変に危険な面もあります
次回は
その点について
考えていこうと思います。

なぜなら、
教師は学習者に
AIの使い方を指導することがあるでしょう。
その時には
危険な面をきちんと知らせておくことが
大切です。

これからは
好むと好まざるとにかかわらず、
AI時代に突入していきます。

この記事が
少しでもお役に立てれば幸いです。

その他のChatGPTに関する記事を
ご覧になりたいときは
以下をクリックしてください。

→チャットGPTについて(その1)

→ChatGPTについて(その2)

→生成AI負の側面(その4)

→生成AIの得意分野と苦手なこと(その5)

→日本の生成AIの進化が止まらない??(その6)

→生成AIの危険性に対抗するために(その7)

 

 

ではではニゴでした。

 

 

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