「テンス」その1

テンスとは

「テンス」は英語でいうところの「tense」のことです。
日本の英語文法では「時制」と訳されています。

日本語文法の「テンス」は
ざっくりとした言い方ですが、
「時をあらわす文法」のことです。

では
「時を表す」とは具体的には
どんなことを言うのでしょうか?

時を表すとは

ある時点を基準としたとき、

 

 

話そうとしている出来事の内容は
その時点の事か(現在)、
その時点より前の事か(過去)、
その時点より後の事か(未来)、

といった「現在」「過去」「未来」に
分けることができます。

これが「時の表現」です。

日本語では
この「時の表現」を
動詞の形を変えることによって
表します。

 

動詞の変化(活用)の規則性

時を表すために日本語では
動詞を一定の規則にのっとって変化(活用)させます。
そこで
日本語は「テンス」がある言語だ、とか
「テンス」をもつ言語だ、と言われています。

例えば日本語では
きのうスーパーに行く
あしたスーパーに行った
のようには言えません。

過去のことを表すときには
動詞の「タ形」を使います。
「きのうスーパーに行った
未来のことを表すときには
動詞の「ル形」を使います。
「あしたスーパーに行く

日本語は
このように
過去や未来のことを表すときに
動詞を規則的に変化(活用)させるので、
テンスを持つ言語だというわけです。

日本語の述語

日本語の述語は
動詞のほかに、形容詞、名詞を用います。

形容詞名詞も形を変化させることで
過去、現在、未来を表せます。

つまり、
形容詞や名詞述語も
テンスと深くかかわっています。

   現在・未来    過 去
動  詞 行く 行きます 行った 行きました
イ形容詞 高い 高いです 高かった 高かったです
ナ形容詞 元気だ 元気です 元気だった 元気でした
名  詞 学生だ 学生です 学生だった がくせいでした

このように
テンスを述べる時には
述語のル形タ形が必要な要素となります。

そこで、ここでの
述語のル形タ形を定義しておきます。

ル形 と タ形

タ形

タ形は文末で使われる述語のうち、
「~た(ました)」で終わるものを言います。
丁寧形も普通形(それらの否定の形)も
含めます。

ル形

ル形は辞書形を含みます。が、
普通形だけでなく、丁寧形も、
また、それらの否定形も含めます。

文末で使われる述語のうち、
タ形以外のものと言っていいかもしれません。
ここでル形タ形を品詞ごとにまとめます。

ル形 タ形
動詞 ~ます、辞書形
~ません、否定形
~ました、~た
~ませんでした、~なかった
イ形容詞 ~い(です)
~くない(です)
~くありません
~かった(です)
~くなかった(です)
~くありませんでした
ナ形容詞
名詞+だ
~です、
~だ、~である
~ではありません
~ではない
~でした、~だったです、
~だった、~であった
~ではありませんでした
~ではなかった

 

日本語のテンスに関する諸説

日本語のテンスについては諸説あり、
研究者の間でも意見が分かれています。

主な意見を挙げると
1.テンスは「過去・現在・未来」という
時間の概念を表す。
タ形」を考えた時、
タ形」は「過去」のみを表すという説。

2.日本語には明確なテンスはない。
時間の概念はアスペクトで表すことができる。
つまり、話す人の気持ち(ムード)によって、
完了なのか、未完了なのかを決める。
タ形」を考えた時、
タ形」はアスペクト(完了)である、という説。

3.テンスは「過去・現在・未来」といった
時間の概念も表せるし、
話し手の主観を述べる時には完了も表せる。
タ形」を考えた時、
タ形」はテンスとアスペクトの両方を
表すことができるという説。

3の説は
1と2の説のいい意味での折衷案です。
現段階において支持する人が最も多く、
今の主流となっています。

※3の説の考え方は
「寺村秀夫氏」によっています。

ここでは、
意見3の<テンスの定義>
に沿って見ていきます。。

●「タ形」は「現在・未来・過去」を
表すことができる。

●また、「タ形」は
「完了・未完了」的な側面も表すことができる。

長くなってしまうので、
このページでは
テンスの「過去・現在・未来」といった
時間の概念について説明します。
完了的なことについては、
次回になります。

ル形」は「現在」または「未来」を表す

日本語の述語は
動詞、形容詞、名詞を用います。

述語としての動詞、形容詞、名詞の

ル形」が
「現在」を表すのか、
「未来」を表すのかを
一つひとつ検証していきましょう。

形容詞

(例)彼女は美しい

まず、
例文の形容詞、「美しい」は
今、美しいので、「現在」を表しています。
未来である一週間後が
「美しい」わけではありません。

つまり、「形容詞」のル形
現在」を表します。

名詞

(例)小学校6年生にもなって、
おねしょをするなんて。
まだ子供なんだなあ。

例文の名詞述語「子供だ」は
今、子供なので、「現在」を表しています。
未来である10年後は
もう、二十歳を過ぎていますから、
「子供」ではありません。

形容詞と同様、
「名詞述語」も
「現在」を表します。

動詞

動詞は種類によって、
ル形が「未来」を表すものと
現在」を表すものとがあります。

●例えば「走る」は
「現在」ではなく、
未来」を表しています。

(例1)明日の朝も走る

(例1)の動詞「走る」は
今(=現在)「走っている」のではなく、
未来である明日、「走る」のです。

●「消える」も
「現在」ではなく、
未来」を表します。

(例2)このろうそくの火は
あと10分ほどで消える

(例2)の動詞「消える」は
今(=現在)「消えている」のではなく、
未来である10分後に、「消える」のです。

●「似合う」は
「未来」ではなく、
現在」を表します。

(例3)そのセーター、よく似合う

(例3)の動詞「似合う」は
現在」を表しています。
未来である来年「似合う」わけではありません。
今現在のことを言っています。

 

動詞の
「走る」「消える」「似合う」を
例として挙げました。

動詞「走る」と「消える」は
ル形が「未来」を表しています。

動詞「似合う」は
ル形が「現在」を表しています。

つまり、
「走る」のように動きを表す動詞と
「消える」のように変化を表す動詞は
未来」を表します。

「似合う」のように状態を表す動詞は
現在を表すのです。

動詞の種類分け

動詞をまとめてみます。

動詞は
時間の流れを考えた時
以下の3種類に分けることができます。

(1)動作を表す動詞
→例:「走る」「打つ」「食べる」・・・

(2)変化を表す動詞
→例:「消える」「さめる」「ふえる」・・・

(3)状態を表す動詞
→例:「似合う」「ある」「いる」・・・

動作変化を表す動詞のル形
未来」を表し、

状態を表す動詞のル形
現在」を表します。

まとめ:述語の分類

動詞だけではなく、述語としての
「形容詞」「名詞」も含めて、
まとめてみます。

時間の流れの中で、
動きのある出来事を「動き」と呼びます。

これに対して、
「動きがない」「静的状態」のことを
「状態」と呼びます。

述語は
「動き」と「状態」に
二分類されます。

「動き」には
「動作動詞」「変化動詞」が含まれます。

「状態」には
「状態動詞」「形容詞」「名詞述語」が含まれます。

 

 

 

 

 

テンスとは
今まで見てきたように
出来事などの時間的前後関係を表す
文法項目です。
ル形」「タ形」は「現在・未来・過去」
を表します。

ここではテンスの基本を見てきました。
次回は「動詞」に絞って、
もっと詳しく「テンス」について見ていきます。

「テンス」その2以降をご覧になりたい方は
以下をクリックしてください。
・・
「テンス」その2

→「テンス」その3

→「テンス」その4

→「テンス」その5

 

ではではニゴでした。

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