敬語を学ぶ重要性

日本語の大きな特色の一つに
「敬語」があります。

日本語初級テキストの多くは
「敬語に関しては
最後にまとめて学ぶ」
といった構成になっています。

しかし、
日本で日本語を学ぶ学習者にとって
それは とても酷なことです。

なぜなら
一歩、教室の外に足を踏み出すと、
敬語を聞かない日はないからです。

特に
銀行やデパートといったサービス業界では
外国の方にも
敬語を使っています。

一般の日本の方々は
日本語がまだ話せないとわかると、
ゆっくり、よくわかるようにと話してくれます。

しかし、
敬語が外国の方にとっては
理解の妨げになっているとは
以外に気づいていないようです。

日本で生活するには
何をするにも敬語が付いて回ります。

買い物、ホテルの予約、レストラン・・・

生活上でよく使われる敬語は
たとえ初級であっても
教えるべきだと考えています。

聞いてわかるだけでもいいのです。

そうでなければ、
生活上の不便が延々と続いてしまう、
という現実からは逃れられません。

日本語学習者の生活に沿った日本語を
もっと考えていきたいですね。

敬語を使う本来の目的

時に学生から
このように言われることがあります。

「先生、敬語は
下の人が上の人に使うんですよね。

今の時代、人はみな平等です。
敬語って、
時代錯誤じゃありませんか?」

敬語は現代では
「下から上へ」使う言葉ではありません。

礼儀やマナーとして
用いることが多くなっています。

敬語とは
人と人との「相互尊重」の気持ちをベースにして、
お互いが
気持ちの良いコミュニケーションを
とるために使う表現方法の一つです。

敬語には
こうした大切な目的があることを
いつも心に止めて、
授業に臨みたいと思います。

敬語はどうして必要か

単純な文法の間違えについて
日本人はかなり寛大です。

ところが、
待遇表現にかかわる場合は
異なります。

(*待遇表現=配慮表現)
よりよい人間関係を築くため、
相手を気遣った表現を選択すること

敬語も待遇表現の一種です。

外国の方でも
その場の状況にそぐわない表現を用いると、

「なんか、この人、礼儀知らずだなあ・・・」
「ちょっと生意気な感じ・・・」

などの感想を持たれることがあります。

本当の彼は
いたってまじめで、
礼儀正しい人物だとしても、
です。

敬語が使えないがために、
相手の方に
本人の意図とは全く違うメッセージを
送ってしまい、
誤解されてしまうのです。

そのため
友達になりたかったのに
反対に去られてしまう・・・

マイナスの評価を受けてしまう・・・

といったことが
起こる可能性があります。

「日本で気持ちよく生活してもらいたい」
と、私たち日本語教師は
心から願っています。

やはり
こうしたことが起こらないように、
「敬語は最初から学んだ方がいい」
と考えます。

敬語の人間関係の3分類

適切な敬語を使うためには
会話時の人間関係を
正しく認識する必要があります。

敬語の人間関係は
以下の3分類を中心に考えます。

会話をする人物
①A=「話し手」、②B=「聞き手」、

そして
そのAさんとBさんの話の中に登場する人物
③C=「話題の人」

具体例を挙げていきます。
(AさんとBさんの会話)

(1)A:Bさん、
     この資料をご覧になりましたか?
         B:はい。

(1)は
Aさん(話し手)がBさん(聞き手)に
むかって話しています。
AさんはBさんに
「ご覧になりました」を使って、
敬意を表しています。

(2)は
Aさん(話し手)とBさん(聞き手)
の会話です。
その話の中にCさんという(話題の人)が
登場しています。

(2)の① 
 A:Bさん、Cさんは
   私の作ったケーキを
   召し上がったでしょうか?
 B:さあ、どうでしょう・・・。

(2)の①:
Aさん(話し手)はBさん(聞き手)に
「~でしょうか」を使って、
敬意を表しています。
Aさんは、もちろん
「召し上がる」を使って、
Cさん(話題の人)にも敬意を表しています。

(2)の②
 A:Bさん、Cさんは
   私の作ったケーキ、
   召し上がったと思う
 B:さあ、どうかなあ・・・。

(2)の②:
Aさん(話し手)はBさん(聞き手)と
友達言葉で話しています。
Aさんは、Cさん(話題の人)には
「召し上がる」を使って、
敬意を表しています。

このように
敬語を考える場合、
「話し手」「聞き手」「話題の人」
に分けると、理解しやすくなります。

敬語が使われる重要な軸

敬語は
次の4つの軸を中心に使われます。

①年齢 ( 年上  ↔ 年下 )
②親疎 ( 親しい ↔ 親しくない )
③立場・役割 ( 社会的な立場と役割 )
④うち・そと ( 身内(仲間) ↔ 他人 )

敬語は「話し手」が「聞き手」を
①年上
②あまり親しくない、
③立場が上
④他人である

と認識した時に使われます。

敬語が使われる要素

(1)敬語と場面

敬語は
人間関係だけでなく、
場面(いつ、どこで、どんな状況で)も
重要な要素になります。

卒業式のように
「改まった場」なのか、

飲み会のように
「くだけた場」なのか、

といった具合です。

それに加え、
メールなのか、ラインなのか、電話なのか、
といった
どんな媒体を使うのかも
関係してきます。

(2)敬語と話題

敬語は
話題によっても
使ったり、使わなかったり、
ということが起こります。

例えば
深刻な話題や重大事を話すときには
敬語が用いられます。

また、
「正式な挨拶」「依頼」「断り」
こうした内容を話す時にも
必要となります。

敬語と個人差

敬語は
人間関係と深くかかわっています。

敬語が用いられる要素も
多岐にわたります。

上記に述べたような、
「場面」や「話題」も
重要な要素です。

また、敬語は
話す人の心理的、心情的な側面とも
つながっています。

そのため
敬語をどう使うかは
個人差が大きくなるのです。

敬語の丁寧語化

敬語は
礼儀やマナーと結びついているため、
「もっと丁寧に話したい」
だから
「敬語を使おう」
とする意識が
強くなりがちです。

以前は
「二重敬語で間違えである」
と思われていた表現が

今では
ごく普通に使われている、
といったことも
よくあります。

敬語が使えるということは
その人の
「教養の深さ」や「品格」
を表している、
と感じる人も多くいます。

そこで
「自身の品格を見せるために
敬語を使う」
ということも起こります。

これまで述べてきた
敬語のあれこれを考えると、

敬語というのは
「形(形式)」だけを学んでも、
使えるようにはならない
ということがわかります。

●「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の誤解
●敬語の付随する非言語コミュニケーションの重要性
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ではではニゴでした。

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