敬語の様々な分類法

敬語は
1.尊敬語
2.謙譲語Ⅰ
3.謙譲語Ⅱ(=丁重語)
4.丁寧語
5.美化語
の5つに分けられました。

今回は
その他の分け方についても見ていきます。

よく使われるのが、

「絶対敬語」「相対敬語」
「素材敬語」「対者敬語」

です。

絶対敬語と相対敬語

世界中の言語に
敬語は存在します。

ただ、その国によって、
敬語が
どう使われているのかは
違っています。

そこで、
どのように敬語を使うのかを
考える指標として、
「絶対敬語」「相対敬語」
があります。

絶対敬語とは

「絶対敬語」とは
何か基準があって、
その基準をもとにして、
敬語を使うのか、使わないのかの
判断をします。


「絶対敬語」
の傾向が強い韓国語を例にとり
見ていきます。

韓国語は
自分基準として敬語を使います。
そこで

自分より目上の人には敬語を使い、
自分より目下の人には敬語を使わない、

ということになります。

「絶対敬語」の場合
敬語を使うか否かの基準は
どんな場面にも
どんな人間関係にも
適用されます。

例えば(韓国で)
自分の祖父の職業を他の人に伝えます。

祖父は自分を基準にすると目上ですから、

「おじいさまは、お医者様でいらっしゃいます。」

のように使われます。

韓国語に比べ
「相対敬語」
の傾向が強い日本語では

「祖父は医者です。」

となります。
(その理由は後ほど)

 

韓国語と日本語は
とてもよく似ている言語です。

そこで
韓国から来た学生は
日本語の上達がとても早い。


ところが
敬語に関しては

韓国語は「絶対敬語」的であり、
日本語は「相対敬語」的であるため、

戸惑うことが多いようです。

例えば初級の一番初めに学ぶ
「あいさつ」

韓国では
絶対的な基準は自分です。
そこで
自分より目上だったら、
家族の間でも
「お母様、おはようございます。」
「お兄さま、おはようございます。」
となるのに対し、

日本では
「おかあさん、おはよう。」
「兄ちゃん、おはよー。」
などと言うのが一般的です。


日本語教師にとって
こうした知識は
韓国の学生を教える際に
とても役に立ちます。

相対敬語とは

「絶対敬語」
としての傾向が強い韓国語は
自分を基準として
自分より目上の人には

・相手がどんな人でも、
(例えば家族であっても)

・どんな場面でも、
(例えばくだけた場面でも)

敬語を使います。

ところが、
「相対敬語」としての傾向が強い
日本語はそうではありません。


「相対敬語」
とは
①話し手、
②話し手と聞き手、
③話し手と聞き手と
 その会話の中での話題となる人物、

こうした登場人物との関係性
その人物とどんな場面で話しているか
といった場面性によって
敬語を使うのか、使わないのかを
判断します。

具体的には
「上下関係」(年齢とか役職など)
「親疎関係」(親しいか親しくないか)
「ウチとソトの関係」(身内かそうでないか)
といった
人対人」の関係性

そして、その人物たちと
どんな場で話しているのか
(くだけた場なのか、改まった場なのか)
といった
「場面性」
敬語を使ったり、
使わなかったりしています。

絶対的な基準はなく、
場面や人との関係性で
(相対的に)変わります。


例えば
自分より明らかに年下でも
初めて会った場合には
敬語を使います。

<会話例>

大学生:あっ、すみません。
    田中教授のお嬢さんでいらっしゃいますね
高校生:はい、そうです。


上記の会話例のように
大学生の話している相手は
年下の高校生であっても、
初対面ですから、
礼儀として
敬語を使っています。

敬語を使うかどうかの対人関係

敬語を使うのか、使わないのかの
目安となる対人関係には
以下のような項目が考えられます。

●上下関係
・年齢の上下
・身分の上下
・役職の上下
・経歴の上下(先輩/後輩)

●親疎関係
・社会的親疎関係
 (身 内 ↔ 身内以外)
 (職場内 ↔ 職場外)
・心理的親疎関係
 (親しい ↔ 親しくない)

●立場関係
・教える側(教師)↔ 教わる側(学生)
・雇う側     ↔ 雇われる側
・買う側(客)  ↔ 売る側(店員)
・貸す側     ↔ 借りる側
・頼まれる側   ↔ 頼む側

次に
「素材敬語」「対者敬語」
について見ていきます。

素材敬語と対者敬語

敬語の分類方法として
「素材敬語」と「対者敬語」
という考え方があります。

素材敬語とは

「素材敬語」の代表的なものが
「尊敬語」と「謙譲語Ⅰ」です。

素材とは
敬意を表したい人や事物のことです。

敬語の対象となる人や事物を
「素材」という言葉で表しています。

素材敬語の代表:尊敬語

「尊敬語」

敬意を表したい人行為
尊敬語の形に改めます。

(例)先生は研究室にいらっしゃいます
    ↑        ↑
 敬意を表したい人  敬意を表したい人の行為

敬意を表したい人(素材)は先生です。
そこで
「素材敬語」に分類されます。

素材敬語の代表:謙譲語Ⅰ

次に「謙譲語Ⅰ」を見ていきます。

「謙譲語Ⅰ」
敬意を表したい人に対して、
自分(話し手)が何か行為をします。
その自身の行為を「謙譲語Ⅰ」の形式にすることで、
その人への敬意を表します。

(例)(私が)先生の荷物をお持ちします


敬意を表したい人(素材)は先生です。
そこで、
素材敬語」に分類されます。


対者敬語とは

「対者敬語」の代表は「丁寧語」です。

「丁寧語」とは
述語に使われる「です/ます」の形式のことです。

「丁寧語」は
人(素材)ではなく、
場面に配慮して用いられます。

(例1)会議室はこちらになります
(例2)こちらが広報の山田さんです

例えば
敬語を使う必要のない会社の同僚とでも
会議の席だとしたら、
(例2)のように「です」が用いられます。

つまり、
会議に参加している
大勢の人(聞き手)に対して、
配慮しています。

「丁寧語」(です/ます)は
場や聞き手にするものなので、
「対者敬語」と言います。

まとめ

敬語を5分類した場合、
「素材敬語」「対者敬語」
がどこに分類されるのか、
以下の表にまとめます。
(これは
仁田義男先生の分類をもとにしています。)

敬語の5分類 素材敬語/対者敬語 機能
尊敬語 素材敬語 話題の人物への
敬意を表す
謙譲語Ⅰ
謙譲語Ⅱ(丁重語) 素材敬語・対者敬語
の両側面を持つ
話し手の品格を
保持する
美化語
丁寧語 対者敬語 聞き手・場面への
配慮を示す


「謙譲語Ⅱ(丁重語)」と「美化語」は
行為や事物(素材)を
敬語の形式に変えるという点で
素材敬語」的だといえます。

ところが、
「謙譲語Ⅱ(丁重語)」と「美化語」は
聞き手や場面に配慮するために用いる形式です。
この役割は「対者敬語」的です。

(注)「謙譲語Ⅱ(丁重語)」と「美化語」の
「話し手の品格を保持する」という機能は
他の敬語にも当てはまります。
現在の敬語は
礼儀、その場にふさわしいかどうか、
対人関係などを考慮して使われています。
これは
「話し手の品格を保持する」という機能と言えます。

 

●「尊敬語」をご覧に足りたい方は
以下をクリックしてください。
 ↓↓↓
敬語(尊敬語)

 

●「謙譲語Ⅰ」をご覧になりたい方は
以下をクリックしてください。
 ↓↓↓
敬語(謙譲語Ⅰ)


●「丁重語=謙譲語Ⅱ」をご覧になりたい方は
以下をクリックしてください。
 ↓↓↓
敬 語(丁重語=謙譲語Ⅱ)

 

「丁寧語・美化語」をご覧になりたい方は
以下をクリックしてください。
 ↓↓↓
「丁寧語・美化語」


●「二重敬語」「敬語連結」
などをご覧になりたい方は
以下をクリックしてください。
 ↓↓↓
二重敬語・敬語連結


●敬語(~させていただきます)
 ↓↓↓
敬語(~させていただきます)

●「マニュアル敬語・バイト敬語」
 ↓↓↓
 マニュアル敬語・バイト敬語

 


●「敬語」の基本的な考え方について
知りたい方は以下をクリックしてください。
 ↓↓↓

敬語を学ぶ重要性

敬語を教える前に

 

ではではニゴでした。

サブコンテンツ

このページの先頭へ