SNS時代の面接(その8)

ChatGPTの登場以来、
世の流れが
ますますデジタル社会へと
急加速しています。

今や若い学習者にとって、
スマホは
切っても切れない分身のようなもの。

彼らにとって
SNSは
あまりにも身近で、
それを奪われると
禁断症状が出てしまうほどです。

そんな彼らと
日々対峙している日本語教師。
私たちはSNSの動向を
知らないわけには いかなくなっています。

そこで、
今日は「ネット上の世論とは?」
について考えていきます。

また、
この記事の最後の方では
「ネット時代の面接」についても
紹介しています。
進路指導の先生だけでなく、
全ての先生に知っていただけたらと、
願っています。

 

ポイント(語彙)

・ネット世論について
・ノイジーマジョリィティー
・サイレントマジョリティー
・裏アカウント(裏アカ)
・今どきの面接に対する注意点

 

ネットの世論は本物か?

前回は
ディープフェイクの脅威について
お伝えしました。

ディープフェイクについて知りたい方は
以下をクリックしてください。

→生成AIの危険性に対抗するために(その7)

 

前回の記事から
たった2か月ほどしかたっていないのに、
このディープフェイクの精度が
ますます上がり、
しかも、
悪用の仕方が、
ますます卑劣になっているように感じます。

こうした
ディープフェイクの技術を駆使し、
世論を誘導しようとする人々が
世界を股にかけ、
暗躍していることを知っておく、
ということは
今や必要不可欠な知識と言えます。

それと、もう一つ。
私たちには知っておくべきことがあります。

それは
インターネットの意見分布は
大きく歪んでいるということです。

どういうことかというと、
インターネット上の意見
能動的に情報発信する人たちの言論空間だ
ということです。

正しいか否かは脇に置かれ、
良くも悪くも

・言いたくて仕方のない人々、
・強い信念
(その信念が正しいとは限りません)
を持った人々が、

発信している言論空間の意見です。

一般的な世論調査の意見とは
全く異なります。
通常の世論調査
聞かれたから答える、という
受動的な発信です)

SNS上の

・「今のトレンドは ~ 」とか
・「今バズッているのは ~ 」
(バズる⇒多数の人が注目している)

といった情報は
一見、多くの人の意見を
反映しているように感じられますが、
実際には違います。

一部の
ノイジーマジョリティー
(必要以上に声の大きい多数派)
の意見が目立っている、
可能性が高いのです。

その結果、
サイレントマジョリティー
(意見は持っているが、それを
ネット上には発信しない多数派)

全く反映されません

この現象がもたらす社会的な影響は
計り知れないほど深刻です。

ノイジーマジョリティーの声が
過度に強調されることで、
社会の中での

・本当の多数の意見
・価値観の多様性

失われてしまう恐れがあります。

ネット上には
生の声もあります。

しかし、
それを
ストレートに
社会全体の意見として
受け取ってしまうには
リスクが大きすぎます。

情報を受け取る私たちは
ネットでは
ごく一部の少数意見
過度に強調されていることの
可能性を
知っておくことが大切です。

身元不明の誤情報が蔓延する恐ろしさ

ネットの中では
自分の身元を隠したまま
情報を高らかに、発信できます
それが
真実ではない偏った内容だとしても。

ごく一部の人間は
この身元を隠したまま
発信できるネットの力を悪用し
世論を操作すべく、
フェイクニュースをまき散らします
そこには
良心のかけらもないように
思われます。

情報爆発が起こっている今、
私たちは
こうしたネット情報
適切に判断する能力
(ITリテラシー)を
高める努力が必要です。

私たち日本語教師は
日本語を教えることが
本業ではあります。

ですが、
学習者を
守っていくためにも

日本語を教えることに加え、
今の社会にうごめいている
リスクについても、
時には
話し合っていきたいものです。

企業のリスク回避法とは?

こうしたSNSのリスクを
多くの企業は警戒しています。

そこで、
その回避策として、
面接方法を変え始めているのです。

学習者の面接について

学習者が日本の企業に入るとき、
企業側は
学習者のSNSを見ています

そして、今や
裏アカ」も調べる企業
増えていることを
私たち教師は知っておきましょう。

裏アカとは?

身近な人が知るアカウントとは別に
身分を隠して投稿するための
別の(裏の)アカウント

この裏アカを使えば
自分が誰だかを隠せるので、
本音や悩みなどを投稿しやすいという
メリットがあります。

ところが、
この裏アカ
過激な発言の温床となっています。

なぜなら、
他人を激しく誹謗中傷しても、
それを誰が言ったのかが、わからないからです。

今までも

・著名人への執拗な中傷、
・友人や職場の同僚へのののしり、
・常識では考えられないような
・・・・・悪ふざけをしている動画、
・特定の相手を合成し、
(今や声までも合成できてしまうので、
・・始末に負えません)
その合成人物に不適切な発言をさせる、

などなど・・・・

こうした迷惑動画、過激な発言は
社会問題化しています。

調査会社の誕生

こうした行為を繰り返している人を

(1)万が一、
自分の会社に入れてしまったら・・・
・・
(2)自社の不利益になる問題を
起こす可能性が高い・・・
・・
(3)そういう人物を入社前に
特定できないだろうか・・・

会社側がこう考えるようになるのも
うなずけます。

こうした社会の流れから
裏表のある人物を発見していく
調査会社が誕生したのです。

例えば
とある企業調査センターは
一人当たり1万6500円で
企業からの依頼を受けていると言います。

企業が調べてほしい人物を
誕生日や出身校といった情報をもとに、
裏アカウントを探していきます。

早ければ10分、
難しいケースでも数時間で
特定できるという話でした。

調査した人の中には
一人で10個以上のアカウントを
使い分けている場合もあった、
と言います。

ほとんどの場合は
「懸念なし」のA評価だそうです。が、

アルバイト先での不適切な動画投稿が
見つかるなどして、
B~D評価になる場合もあるそうです。

今の時代、
面接を受ける前の段階から
すでに面接が始まっている
という事実を
教師としては知っておきましょう。

書類選考の段階で
見つからないだろうと思っていた
黒歴史が明らかにされ、
ふるい落とされるケースも
出てきているのです。

今や日本語学習者も
SNSなしでは生活できないという人が
ほとんどです。

ChatGPTも
使っていない学習者を見つける方が
難しいかもしれません。

今の時代を
よりよく生きるために、
日本語学習とともに、
こうしたITリテラシーを高めることは
必要不可欠となっています。

 

以前の記事をご覧になるときは
以下をクリックしてください。

→チャットGPTについて(その1)

→ChatGPTについて(その2)

→生成AI・チャットGPTについて(その3)

→生成AI負の側面(その4)

→生成AIの得意分野と苦手なこと(その5)

→日本の生成AIの進化が止まらない??(その6)

→生成AIの危険性に対抗するために(その7)

 

ではではニゴでした。

 

 

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