敬 語(丁重語=謙譲語Ⅱ)

丁重語(謙譲語Ⅱ)とは
非常に改まった場で用いる敬語です。
例えば
「よろしくお願いします」は
丁寧な言い方で、よく使われます。

それに比べ
丁重語を使った
「よろしくお願いいたします。」は
改まった場で使う言い方となります。

「改まった場で使う」とは
入学式や卒業式、結婚式などでの
スピーチを思い浮かべると
わかりやすいと思います。

丁重語(謙譲語Ⅱ)は
フォーマルな服装をしなければならない場で
使われます。
また、
大勢の人の前で話す時にも使われるので、
大切な敬語となります。

丁重語(謙譲語Ⅱ)の語彙

丁重語(謙譲語Ⅱ)は
数が少ないので、覚えるには楽です。
以下に主なものを記載しておきます。

  丁重語(謙譲語Ⅱ)
す る いたします
行く・来る まいります
言 う 申します
知る・思う 存じます
い る おります
あ る ございます

●丁重語(謙譲語Ⅱ)は
現在の日本語では
普通体の形では使うことができません。
上記の表のように必ず丁寧体で使います。

●これは丁重語(謙譲語Ⅱ)が
使われる場面を考えるとわかります。
丁重語(謙譲語Ⅱ)は非常に改まった場で
使う敬語だからです。

丁重語(謙譲語Ⅱ)を普通体で使うと・・・

現代の日本語では
普通体では使えない丁重語(謙譲語Ⅱ)
普通体で使ってしまうと・・・

「(拙者)仁子と申す
これから玄白先生のもとへまいる
では、失礼いたす。」

このように、
なんとも時代劇風になってしまいます。

丁重語(謙譲語Ⅱ)が使われる場

丁重語(謙譲語Ⅱ)が使われる場は
改まった場、非常にフォーマルな場です。
そして
丁重語(謙譲語Ⅱ)を用いる人は
その場で、何か役割を与えられています。
(例えば、
結婚式の披露宴でスピーチを
頼まれている、などといったことです)

またその場には
割と多くの聴衆がいる、
ということが予想されます。

こうした場で、
普通体を使うことは考えられません。
そこで、
丁重語(謙譲語Ⅱ)は
常に丁寧体で使われます。

丁重語(謙譲語Ⅱ)と謙譲語Ⅰ・尊敬語との違い

同じ敬語でも、
尊敬語や謙譲語Ⅰは
普通体でも用いられます。

尊敬語の例

A:山田先生、きのう研究会にいらっしゃった
B:うん。来たよ。

この例は
友達同士の個人的な会話です。
フォーマルな場で話しているわけではないので、
普通体でOKなのです。

普通体で話してはいますが、
Aさんは
「山田先生はいらっしゃった?」
のように、
尊敬語「いらっしゃる」を使って、
山田先生に敬意を表しています。

(一方、Bさんは
「(山田先生は)来たよ。」と
特別に敬意は払っていません。)

このように尊敬語
話題の人物(=山田先生)の動作を
尊敬語の形にして、
山田先生に直接敬意を表しています

特定の個人に敬意を表す尊敬語と違って、
丁重語(謙譲語Ⅱ)は
そうした特定の個人を意識するものではありません

式典や重要な会議などといった、
その公的な「場」と
その場の
不特定多数の聴衆(聞き手)を意識するものです。

丁重語(謙譲語Ⅱ)とは
改まった場にふさわしい
丁重な言葉使いをする
というものです。

名詞の丁重語(謙譲語Ⅱ)

丁重語(謙譲語Ⅱ)には
以下のような漢語名詞があります。

「拙」:拙著、拙宅、拙稿、拙文、拙者、拙僧

「小」:小生、小社

「弊」:弊社、弊店、弊行(銀行の言い方)

「愚」:愚息、愚弟、愚見、愚作、愚考、愚行

「粗」:粗品、粗茶、粗餐、粗酒粗肴(そしゅそこう)

「寸」:寸志、寸説

「卑」:卑見、卑説

丁重語(謙譲語Ⅱ)の用法(1)

漢語名詞 + いたします

(非常に緊張感漂う会議で)

(例1)明日、夜9時の便で出発いたします

(例2)その件につきましては、後日連絡いたします

(例3)山田さんに代わりまして、わたくしが説明いたします

丁重語(謙譲語Ⅱ)の用法(2)

丁重語(謙譲語Ⅱ)は
主体が人でない場合でも使うことができます。

(例1)この電車は まもなく東京駅に到着いたします
    (主体=電車)

(例1)の場合は
電車に乗っている不特定多数のお客様へのアナウンスです。
つまり、
公式の場でのアナウンスですから
丁重語(謙譲語Ⅱ)を使っています。

(例2)すっかり春めいてまいりました
    (主体=季節)

(例3)台風で夜通し強いが吹いておりました
    (主体=風)

(例2)(例3)は
改まった場でのあいさつかも知れません。

あるいは
公共放送の天気予報の中で
不特定多数のテレビの前の視聴者に向けての
あいさつかもしれません。

そこで、
その場にふさわしい丁重語(謙譲語Ⅱ)を
選んでいるといえます。

丁重語(謙譲語Ⅱ)を用いると
フォーマルな場にふさわしい言葉遣いができている
と認識され、その使い手は「品格がある」
とみなされます。

謙譲語Ⅰと丁重語(謙譲語Ⅱ)の違い

謙譲語Ⅰと丁重語(謙譲語Ⅱ)は
行為の主体(主に話し手自身)が
謙遜した、礼儀正しい話し方をする
という点では同じです。

しかし、
謙譲語Ⅰ
使うときに必ずかかわる相手がいます。
そして
その相手に対して、敬意を示す表現です。

(例1)A:山田先生、わたくしが校内をご案内します
    B:そうですか。ではお願いします。

Aさんは謙譲語Ⅰ(ご案内します)を使って、
関わる相手(=山田先生)に敬意を表しています。

 

それに対し謙譲語Ⅱ(丁重語)
特定の個人とかかわることはありません。

(例2)仁子と申します。

この(例2)の文には、
高めるべき特定の個人は存在していません。

挨拶している場が厳粛な雰囲気なので
謙譲語Ⅱ(丁重語)を使っています。

適切・不適切の理由を考えてみよう

●謙譲語Ⅱ(丁重語)
(1)〇わたくしは明朝6時の新幹線で出発いたします

●謙譲語Ⅰ
(2)✖わたくしは明朝6時の新幹線でご出発いたします

 

だめな理由:
謙譲語Ⅰは
自身が礼儀正しく、
丁寧な話し方をすることによって、
関わる相手に敬意を表します。

そこで
「出発する」のように、
自分自身の行為を表す語には使えません。

(1)で謙譲語Ⅱ(丁重語)が使えているのは
丁重語は
かかわる個人に敬意を表す表現ではないからです。
特定個人ではなく、場を意識して使っています。


意味の違いを考えてみよう

●謙譲語Ⅰ
(1)(わたくしが)山田さんをご案内いたします

●謙譲語Ⅱ(丁重語)
(2)(わたくしが)山田さんを案内いたします


(1)と(2)の意味の違いがわかるでしょうか。
(1)は謙譲語Ⅰを使っています。
そこで、
山田さんに敬意を表しています。

(1’)「私が山田先生をご案内いたします」
とするとわかりやすいですね。


(2)は謙譲語Ⅱ(丁重語)を使っています。
そこで、
山田さんに敬意を表しているのではありません。
この言葉を発している場が、
非常にフォーマルな場であると認識し、
その場の雰囲気に合った
丁重な言葉使いをしています。

例えば

(2’)明日、子供たちが社会見学に来ますから、
   私が(子供たちを)案内いたします。

(2’)のように、この文は
子供たちに敬意を表しているのではなく、
その場面が重大事を決める場であったため、
言葉遣いを丁重にしています。

 

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ではではニゴでした。  

 

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