条件表現「と・ば・たら・なら」(1)

日本語の条件表現で、代表的なのは
「と」「ば」「たら」「なら」でしょう。

(例)春になると、 さくらの花が咲く

上の(例)文では、さくらの花が咲くかどうかは、
春と言う季節が来るということにかかっています。

つまり、後件の文が起こるかどうかは、
前件の文の事態が起こるかどうかにかかっています。

そういった関係を表す文を「条件表現」と言います。

条件表現は 教師にとっても、学習者にとっても
難しい項目です。

これから述べることが、条件表現を考える上での
ヒントになれば幸いです。

まずは、条件表現の全体像について考え、
その次に、
「と」「ば」「たら」「なら」の個別表現について
見ていきます。

条件表現「と・ば・たら・なら」の地方差について

条件表現は、4つあります。
「と・ば・たら・なら」です。

1、この薬を飲む、治るだろう。
2、この薬を飲め、治るだろう。
3、この薬を飲んだら、治るだろう。
4、この薬を飲むなら、治るだろう。
(この薬をのんだなら、治るだろう。)

日本語を教えるときに、大切なのは
意味と文法です。

でも、その前に条件を教えるときには、
考えておかなければならないことがあります。

それは、日本語教師の「と・ば・たら・なら」への
言語感覚です。

「と・ば・たら・なら」の使い分けには、
地方差が、とても大きいのです。

条件文は、美しい周圏分布(*1)をしていると言われています。

おおざっぱにいうと、
地域によって、「と・ば・たら・なら」の
使い方が異なっているということです。

つまり、生まれ育ったところにより、
「と・ば・たら・なら」の言語感覚が
かなり違うのです。

条件文については、自分の言語感覚を
頼りに、教案を考えるのは、
少し注意しなければならないかもしれませんね。

一般的には
関東圏の人は「と・ば・たら・なら」の
条件文を使い分けており、

関西圏の人は、あまり、「と・ば・たら・なら」を
使い分けず、「たら」を多く使う、と言われています。

「この文は、自分はあまり使わないなあ」と、
思っても、それは生まれ育った場所が
その言葉をあまり使うところではなかったから、
かもしれません。

このことを知っておくことは
とても大切だと思います。

周圏分布(*1)

方言の地理的分布はほぼ同心円をなし、文化的中心地付近に新しい言い方が広まり、
遠い所に古い言い方が残るという考え方。
柳田国男(やなぎたくにお)が『蝸牛考(かぎゆうこう)』(1930)において、
カタツムリをさすことばの全国分布をもとに唱えた。
近畿とその周辺に分布するデンデンムシ系がいちばん新しい言い方で、
その外側に分布するマイマイ系、カタツムリ系、ツブリ系は、この順に古い言い方だと考えた。
これは「古語が方言に残る」という形で、江戸時代の学者も気づいていたことである。
20世紀初頭にヨーロッパで発展した言語地理学でも同様に考え、
このような地理的分布から過去の言語変化を推定する。

この周圏分布については、とても面白い本があります。
『全国アホ・バカ分布考 はるかなる言葉の旅路』(太田出版、後に新潮文庫)

ぜひ読んでみてください。
周圏分布の楽しさが、存分に書かれた本です。

ちょっと厚めですが、あっという間に読めてしまうので、
お薦めです。

次回は
条件表現「と」「ば」「たら」「なら」
全体的な大まかな、意味での使い分けについて見ていきます。

https://www.tomojuku.com/blog/to-ba-tara-nara2/

ではでは ニゴでした。

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