敬 語(尊敬語)

誰が誰に敬語を使うのか

話をするときには
話す人(=話し手)
(話している人の話を)聞く人(=聞き手)
がいます。
そして
その会話の中には
話題として登場する人(=話題の人)
が出てきます。

敬語とは
話し手が、聞き手や話題の人に
敬意を表す表現です。

話し手、聞き手、話題の人

【例1】

話し手A:あっ、Bさん。山田先生がいらっしゃいましたよ。

聞き手B:ほんとうだ!

【例1】で考えると

山田先生が「話題の人」となります。
話し手は「話題の人」である山田先生に
敬意を表しています。


【例2】

話し手A:Bさん、もう、お帰りになりますか?
聞き手B:はい。

【例2】では
聞き手」と「話題の人」が
同一人物であると考えます。

話し手は聞き手でもあり、話題の人でもある
Bさんに敬意を表しています。


敬語(ここでは尊敬語)のポイントを
単純化すると

①話し手が使う。
②話題の人(=動作・行為をする人=主体)
の動作・行為に尊敬語を使う。

ということになります。


敬語の分類

2007年、文化審議会によって
「敬語の指針」が
発表されました。

この指針では
敬語は3分類から5分類へと
変更されました。

教師にとっては
大分教えやすくなったといえます。

敬語の分類は
細かい点においては
研究者によって意見が分かれています。

しかし、
5分類になったことは
教える側にとっては大変助かります。

以下に
以前の3分類と今の5分類の違いを
記載しておきます。

敬語の分類

3分類  5分類 機能
尊敬語  尊敬語 話題の人物への敬意を表す
謙譲語  謙譲語Ⅰ
 謙譲語Ⅱ(丁重語) 聞き手・場面への配慮を示す話し手の品位を表す
丁寧語  美化語
 丁寧語 聞き手・場面への配慮を示す

尊敬語

まずは、尊敬語から見ていきます。

尊敬語とは
5分類した敬語の中の一つで、
話題の人物(
主体)に対して
敬意をあらわす表現のことです。

尊敬語は
動詞、イ形容詞、ナ形容詞、名詞を
それぞれ敬意を表す形に変化させて
使います。

以下は
動詞述語文、形容詞述語文、
名詞述語文の尊敬語を用いた例文です。
話題の人(主体)は「山田先生」です。

【例】
(1)山田先生はお帰りになりました
(2)山田先生はお忙しいです
(3)山田先生はお元気です
(4)山田先生はご病気です

(1)の「帰る」という
動作の主体は「山田先生」です。

(2)の「忙しい」
(3)の「元気だ」
(4)の「病気」
という(2)~(4)の
状態の主体は「山田先生」です。

話し手は
それぞれの文の述語を変化させて、
尊敬語にし、
主体の「山田先生」に
敬意を表しています。


つまり、尊敬語は

(1)動詞述語の尊敬語
(2)イ形容詞述語の尊敬語
(3)ナ形容詞述語の尊敬語
(4)名詞述語の尊敬語

に分けることができます。

動詞述語の尊敬語

動詞の形を変えて
尊敬語にするパターンは
たくさんありますが、
よく使われているのは
以下の3つです。
(V=動詞)

(1)尊敬語独自の動詞を使う
(2)「おVになる」の形を使う
(3)「Vれる / Vられる」の形を使う

まず、(1)尊敬語独自の動詞を使う
から見ていきます。

(1)尊敬語独自の動詞を使う


(例)田中さんは教室にいらっしゃいます

以下に代表的な尊敬語独自の動詞を記載しておきます。

辞書形 尊敬語
普通形 丁寧形
行く・来る いらっしゃる いらっしゃいます
いる いらっしゃる いらっしゃいます
食べる・飲む 召し上がる 召し上がります
寝る お休みになる お休みになります
言う おっしゃる おっしゃいます
見る ご覧になる ご覧になります
着る お召しになる お召しになります
死ぬ お亡くなりになる お亡くなりになります
する なさる なさいます
知っている ご存じだ ご存知です

※「知っている」の尊敬語である「ご存じだ」は
 「名詞 + だ」となります。

※また、以下の語は慣用的に使われています。

「行く/来る」 → 「おいでになる」
「来る」    → 「お越しになる」
「来る」   → 「お見えになる」

(2)「おVになる」の形を使う

(例)田中先生は帰りになりました
          ↑
        帰り(ます)

注意点

●3グループの動詞「来る」「する」は
 この形にできません。

●2グループの動詞の
「いる」「見る」「着る」のような
  語幹が一音節の動詞も
 この形にできません。

●2音節以上の動詞でも、
 尊敬語独自の動詞がある場合には
 ふつうは、この形を使いません。

△「お食べになります
〇「召し上がります」

(3)「Vれる / Vられる」の形を使う


(例)田中さんが 書かれます
           ↓
         書かない)+ れます

(例)今日は 田中先生が 教えられます
               ↓
             教えない)+ られます

この形{(3)「Vれる / Vられる」の形を使う }は

(1)尊敬語独自の動詞を使う
(2)「おVになる」の形を使う 

の形と比べ、
敬意を表す度合いが低く、
日常的な表現と
捉えられています。 

注意点   

●「できる」「わかる」や「可能形」は
 「Vれる / Vられる」の形をとりません。

●3グループ動詞の
「来る」は「来られる
「する」は「される
 の形になります。

動詞 辞書形 Vれる/Vられる
1グループ 書く 書かれる
読む 読まれる
待つ 待たれる
2グループ 起きる 起きられる
受ける 受けられる
教える 教えられる
3グループ 来る 来られる
する される

動詞述語の尊敬語(1)(2)(3)
どの形を使うのか?

(1)尊敬語独自の動詞を使う
(2)「おVになる」の形を使う
(3)「Vれる / Vられる」の形を使う

動詞述語の尊敬語(1)(2)(3)の中で
どれを使うのが適切か、は
個人差や地方差があります。
そこで、
「この場合は(1)を使います」
のように断定はできません。

目安として書いておきます。


(1)のように尊敬語独自の動詞がある場合は
これを使うようにします。

尊敬語独自の動詞がない場合は
(2)の形を使います。

(3)の形は
最近、日常会話の中でよく使われています。
しかし、
尊敬の度合いが低いので、
相手によっては
不適切な場合があります。
そこで、
尊敬語が必要とされる状況では
(1)と(2)の形を使った方が
問題が少ないと言えます。

イ形容詞・ナ形容詞・名詞述語の尊敬語

イ形容詞述語・ナ形容詞述語・名詞述語は
接頭辞「お」「ご」を付けて、
尊敬語の形を作ることができます。

「お」「ご」をつけるだけの尊敬語は
日常の中で、よく使われます。

「お」は(おもに)和語系の語につき、
「ご」は(おもに)漢語系の語につきます。
(例外も多く見られます)

イ形容詞は基本的には和語です。
そこで、イ形容詞には「お」がつきます。

ナ形容詞・名詞「お」のつくものと
ご」のつくものがあります。

「お」「ご」の尊敬語の用法は
語彙的な制限を受けます。
そこで
使える語と使えない語がでてきます。

(イ形容詞)おかしこい
(ナ形容詞)おほがらかだ
(名  詞)ご資産家

イ形容詞述語の例

お忙しい / お早い / お美しい /
お若い / おやさしい / おつらい /
お詳しい / お寂しい / お悪い /

ナ形容詞述語の例

お元気だ / お好きだ / お嫌いだ /
お上手だ / お気の毒だ / お見事だ /
おきれいだ / お健やかだ / 
おかわいそうだ /

ご立派だ / ご健康だ / ご心配だ /
ご不満だ / ご多忙だ / ご満足だ / 
ご親切だ /

名詞の例

話題の人自身や、その人に関する物事を高めます。

(1)その人自身を表す名詞を使って、
           その人物を高める。

こちら / そちら / あちら / どちら
どなた / 方(人のこと) / ~さん /~様

(2)話題の人の持ち物や
その人に関するものなどを高める

●「 お + 名詞 」

(例)お名前 / お仕事 / お時間 /
   お電話 / お手紙 / お食事 / 
   お留守 / お部屋 / お宅 / 
   お顔 / お気持ち / 

「 ご + 名詞 」

(例)ご家族 / ご両親 / ご兄弟 /
   ご意見 / ご著書 / ご研究 / 
   ご住所 / ご出身 / ご病気 / 


ここでは主に尊敬語の形式について書きました。
形式を学ぶ前に
敬語(尊敬語)の本質を知る必要があります。
敬語を教える際には
ぜひ、
以下の記事を読んでいただければと思います。

 

●敬語はどうして学ばなければならないのか、
●敬語を使うか否かを決める4つの軸、
などを知りたい方は以下をクリックして下さい。
↓↓↓
敬語を学ぶ重要性

 

●「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の誤解
●敬語の付随する非言語コミュニケーションの重要性
などを知りたい方は以下をクリックしてください。
↓↓↓
敬語を教える前に

●「謙譲語Ⅰ」について知りたい方は
以下をクリックしてください。
↓↓↓
敬語(謙譲語Ⅰ)

●「謙譲語Ⅱ(丁重語)」について知りたい方は
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敬語(丁重語=謙譲語Ⅱ)

●「丁寧語・美化語」について知りたい方は
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丁寧語・美化語

●「二重敬語」について知りたい方は
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二重敬語・敬語連結

 

 

ではではニゴでした。

 

 

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