動詞の分類(一項動詞・二項動詞・三項動詞)

日本語の文の分析

文の分析の仕方は様々です。
今回は最も基本的な分け方を見ていきます。

(例)どうも熱があるようだ。

この例文を大きく二つに分けてください。
と言われたとき、どのように分けますか?

いろいろと考えられますが、
「コト」と「ムード」に分けてみましょう。

●どの部分が「コト」で、どの部分が「ムード」でしょうか。

<ヒント>

「コト」は客観的な事柄を表す部分です。
「ムード」は気持ちを表す部分です。

<答え>

 

 

 

 

 

答えとして、上記の図のように分けることができます。
文法書によっては

コトを「命題」「事態」「叙述内容」・・・
ムードを「モダリティ」・・・

などとも言います。

どうして「動詞の分類」なのに、
「まず、文の分類から始めたのか」と、
不思議に思われた方もいるでしょう。

それは
動詞の分類を考える時、
できるだけ客観的に見ていきたいのです。

そこで、
文から事実を表す「コト」の部分だけを取り出し、
考えていくという手法を取ります。

では
動詞の分類に入る前にもう一つ。
以下の例文(1)の「コト」の部分はどこでしょうか。

(1)キムさんは ロンさんと図書館で勉強するらしい

→<答え>
コトの部分は【  】で囲んだ部分です。

(1)キムさんは【ロンさんと図書館で勉強する】らしい。

それでは、いよいよ、動詞の分類に入っていきましょう。

 

動詞の分類(二項動詞)

●「コト」の文で考えます。

(例1)マリさんが カフェで トムさんと コーヒーを飲む。

この文から「カフェで」と「トムさんと」を取り除きます。

(例1’)マリさんがコーヒーを飲む。

(例1’)を見ると、
(例1)の文から「カフェで」と「トムさんと」を取り除いても、
何の問題もないことがわかります。(不自然な文とはなりません)

ところが、
「コーヒーを」を取ってしまった、下の文ではどうでしょうか。

(例1”)マリさんが飲む。

この(例1”)の文では
「え?何を飲むの?」と、
妙に落ち着きのない文になってしまいます。

(例1’)マリさんがコーヒーを飲む。

次に、上記の文から
「マリさんが」を取ってみます。

(例1’”)コーヒーを飲む。

やはり、この文だと そのコーヒーは
「誰が飲むの?」という疑問が浮かんできます。

そこで、

(例1)マリさんが カフェで トムさんと コーヒーを 飲む

この文の動詞「飲む」にとって、
「なくてはならない成分(名詞句)はどれだろう」
と分析するとき、
「マリさんが」と「コーヒーを」が必須だとわかります。

つまり、
「飲む」という動詞には
「マリさんが」(=「が格・主格」)と
「コーヒーを」(=「を格・目的格」)が常に必要になります。

そこで、
「マリさんが」(=「が格・主格」)と
「コーヒーを」(=「を格・目的格」)が

動詞「飲む」の必須成分となります。

(例)マリさんが コーヒーを 飲む

●「飲む」は「マリさんが」と「コーヒーを」の
二つの必須成分(名詞句)が必要なので、
<二項動詞>と言います。

つまり、
「項」とは文にとって必ず必要な成分のことで、
「二項動詞」とは、
その必須成分が二つ必要な動詞、ということです。

動詞には
必要な成分が一つでいい一項動詞
二つ必要な二項動詞
三つ必要な三項動詞があります。

次は一項動詞についてみていきます。

 

動詞の分類(一項動詞)

(例)雨が降る。

上記の文の動詞「降る」は
一項動詞、二項動詞、三項動詞、
のうちのどれでしょうか?

これは簡単ですね。
「雨が降る」は
これだけで、文として完結しています。
そこで、
動詞「降る」にとっての必要な成分(項)は
「雨が」一つでOKとなります。

つまり、
動詞「降る」は一項動詞となります。

 

動詞の分類(三項動詞)

●「コト」の文で考えます。

(例)マリさんが 英語を 花子さんに 教える。

動詞「教える」は
上記の例文を見てもわかる通り、
どの成分も取り除くことができません。

「マリさんが」「英語を」「花子さんに」
この三つ全てが、必須成分です。

そこで、
動詞「教える」は三項動詞ということになります。

 

動詞の分類表

一項動詞、二項動詞、三項動詞の文型をまとめておきます。

動詞 一項動詞 (1)~が 温まる、暴れる、光る、降る、冷える、
吹く・・・
二項動詞 (1)~が~を 助ける、着る、食べる、見る、書く、
作る、こわす、なぐる・・・
(2)~が~に かみつく、反対する、甘える、頼る、
あこがれる、ぶつかる・・・
(3)~が~と けんかする、戦う、結婚する・・・
三項動詞 (1)~が~を~に 教える、紹介する、与える、借りる、
送る・・・


一項動詞
の例文
<吹く>
(1)明日は風強く吹くでしょう。

二項動詞の例文
<食べる>
(1)奈良公園で鹿せんべい食べている
<甘える>
(2)鹿せんべいを持っている観光客甘えている
<付き合う>
(3)先輩僕の友人付き合っているようだ。

三項動詞の例文
<送る>
(1)マリさん毎日メール恋人送っているといううわさを聞いた。

 

ではではニゴでした。

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