誘発(感情の原因)の使役

使役文の基本的な意味

①強制・指示

(1)私は 嫌がる子供を 無理やり歯医者に 行かせました。
(2)先生は 学生に 作文を 書かせました。

②許可・放任

(3)(子供が留学したいと言ったら)私は 子供に 留学させます。
(4)先生は、園児に 好きなように遊ばせていました。

③誘発(感情の原因)

(5)子供は母の日に、エプロンをプレゼントして、お母さんを喜ばせました。
(6)子供は難しい質問をして、お母さんを 困らせました。

使役の基本的な意味は この3点に分類しました。

①「強制・指示の使役」は使役の典型です。
①「強制・指示の使役」と②「許可・放任の使役」の違いは、
私がどのくらい力を行使するのか、の違いです。
①「強制の使役」(1)私は、子供の意向は考えていません。
①「指示の使役」(2)先生は、学生の意向は考えていません。
・                                ・
②「許可の使役」(3)親は、子供の意向を聞いています。
②「放任の使役」(4)先生は、園児の意向をそのまま受け入れています。
・                                ・
②の(3)「許可」の使役文は、授受の表現(~てくれる、~てもらう、・・・)
などと一緒に使うことが多くなります。

初級で「②許可の使役」から、
「~させていただけませんか」と「許可を求める」表現を
学習するのは、このためです。

③誘発(感情の原因)の使役

(1)子供は百点をとって、両親を 喜ばせた。
(1’)子供は 両親を 喜ばせた。
(X は Y を  Viさせる)

「誘発」の使役は、
「Xが原因となって、YがViのような気持ち(感情)を抱くようになった。」
ことを表します。そこで、「感情の原因」の使役とも言います。
●「誘発」の使役は、以下のような
「感情」を表す動詞を主に使います。

「落胆する」「困る」「いらだつ」「笑う」「泣く」
「怒る」「悲しむ」「驚く」「嘆く」「はらはらする」など・・・。

●こういった感情を抱くのは、もちろん人ですから、
「誘発(感情の原因)」の使役の動作主は有情名詞(人)です。
(2)学生は 先生を 困らせた。
(3)子供は 両親を 喜ばせた。

また、主語部分が感情の生じた原因を表すので、
主語部分には、(1)のように出来事を表す文がよく用いられます。

(1)子供は百点をとって、両親を 喜ばせた。
(6)学生は難しい質問をして、先生を 困らせた。
(7)太郎は自分のおもちゃを見せびらかして、皆を うらやましがらせた。

この「誘発(感情の原因)」の使役は

(4)政府の無能な外交政策が、国民を 落胆させた。
(5)無差別テロの横行が 市民を おびえさえている。

のように、中級の「原因」の使役へと続きます。
「原因」の使役は、客観的で堅い文に多く使われます。
その時には、「私」個人の主観は使いにくくなります。

(4’)政府の無能な外交政策が( 私?)を 落胆させた。
(5’)無差別テロの横行が( 私?)を おびえさえている。

「私」個人ではなく、「我々、人々・・・」のように、
一般化すると自然な文になります。

*「強制・指示」の使役「許可・放任の使役」等を知りたい方は こちらをどうぞ。
>>「強制・指示」「許可・放任」の使役

*「原因」「誘発(感情の原因)」の使役を知りたい方は こちらをどうぞ。
>>「原因」「誘発」の使役

ではでは ニゴでした。

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