授受「やる/あげる/さしあげる」②
「やる/あげる/さしあげる」
「与え手」(私)が/は + 「受け手」(に、など) + 物を + あげる
例)私は マリさんに 本を あげました。
(1)①(あげる)「ウチ」→「ソト」
[与え手] [受け手]
私(ウチ) → さしあげる → 目上の人/親密度の低い人
私(ウチ) → あげる → 対等の人
私(ウチ) → やる/あげる → 目下の人
●受け手が目上の人である場合には、
「さしあげる」を直接使うと、
とても押しつけがましい印象をもたれてしまいます。
そこで、学生には
*「さしあげる」は目上の人には直接使わない
と、指導することが大切です。
×「先生、私の国のお菓子をさしあげます。」
○「先生、これ、私の国のお菓子です。どうぞ。」
●「やる/あげる/さしあげる」は、以下の場合に使われます。
一人称 → 二、三人称
私は マリさんにあげます。
三人称 → 三人称
マリさんは キムさんにあげます。
●「やる」を使うのは、
受け手が動物や植物のとき、
受け手が与え手より目下のとき、です。
例)小鳥に エサを やる。
例)花に 水を やる。
しかし、最近は使用範囲が広がり、
「あげる」を使う人が多くなっています。
例)お正月には 子供たちに お年玉を やります。
例)お正月には 子供たちに お年玉を あげます。
例)毎日 犬に エサを やるのが 私の仕事です。
例)毎日 犬に ごはんを あげるのが 私の仕事です。
●最近は「あげる」を使うことが多くなりましたが、
ほかの人に自分の家族のことを話すときには
「やる」を使う方が、本来の日本語と言えます。
例)医者:どうですか。
私 :4時間おきに 子供にミルクをやっているので、寝られないんです。
また、友達同士の会話では「やる」は、意外によく使われています。
●「さしあげる」「いただく」は 自分の身内には使わないというのは、
誤解だと言えます。身内以外の人に、身内のことを話す場合には 使えません。
しかし、身内の間で、目上の身内について話す場合は、正しい日本語となります。
<「さしあげる」が使えない場合>
例)マリ:あした、お父さんの誕生日でしょう?プレゼント決めた?
私 :ネクタイを あげるつもり。
(×ネクタイを さしあげるつもり。)
<「さしあげる」が使える場合>
例)私:お姉さん、お父様のお誕生日、何をさしあげましょう?
姉:そうねえ。ネクタイはどうかしら。
>>「あげる/さしあげる」の注意点については こちらをご覧ください。
>>「くれる/くださる」③については こちらをご覧ください。
>>「もらう/いただく」④については こちらをご覧ください。
ではでは ニゴでした。