「~ている」表現の全体像(1)

「~ている」表現とアスペクト

「~ている」には、いろいろな意味があります。

末っ子:お母さん、あのクッキー、もう、食べちゃった?
母  :大丈夫、私はまだ食べていませんよ。
でも、奈々ちゃんが、今、食べているけど・・・・・・。
末っ子:あ~!5袋あったのに、1袋しかない!
次 女:私じゃないって。めぐが きのうのうちに、もう3袋食べているの!

この「食べている」を図に表すと次のようになります。

 

 

 

「~ている」表現は 時間の流れの中で、
どの部分に焦点をあてるかによって、意味が変わります。

「(まだ)食べていないの」のか
「(いま)食べている」のか
「(もう)食べている」のか   といった具合です。

ある動きが全体の時間の流れの中で、
どの段階にあるのかを考える文法を「アスペクト」と言います。

そこで、「~ている」表現は、このアスペクトの代表選手と言えます。

(1)キンさんは本を読んでいます
(2)金庫のドアが開いています

(1)(2)は動詞を同じように「~ている」形にしています。が、
(1)は「進行中」を表し、
(2)は「ドアが開いた結果、その状態のままである」という
「結果の状態」を表しています。

どうして同じ「~ている」形を使っているのに、
こうなるのでしょうか?

研究者の出した答えが「動詞の性質が違うから」です。

「~ている」表現と動詞

金田一春彦氏は、動詞を四つに分類しました。
金田一春彦氏のおかげで、この「~ている」表現の研究が、
大きく進んだと言えます。

*金田一春彦氏の動詞の分類については、こちらをご覧ください。

http://www.tomojuku.com/blog/verb/

<金田一春彦氏の動詞分類の概略>

継続動詞  読む ⇒ 読んでいる ⇒ 読んだ
瞬間動詞  あく ⇒ 開いた ⇒ 開いている

「読む」という動詞は
「読む」(現在形)と「読んだ」(た形)の間を
「読んでいる」で表すことができます。
そして、「読んでいる」という動作は「継続している」という意味を表します。
そこで、この動詞は継続動詞と名づけられました。

「あく」という動詞は
「開く」から「開いた」になる時の変化が瞬間に起こるので、
瞬間動詞と名づけられました。

継続動詞を「~ている」形にすると、進行中の意味になり、
瞬間動詞を「~ている」形にすると、結果の状態の意味になります。

これは画期的な分類方法です。
しかし、変化が瞬間ではない、つまり継続動詞でも、
「~ている」形の意味が「進行中」ではなく、
結果の状態」を表す動詞もあります。

例えば「太る」です。

太る ⇒ 太った ⇒ 太っている

これは、太るという変化が瞬間に起こるわけではないので、
「継続動詞」に分類されます。

しかし、「太っている」の意味は
「太った」の結果の状態が続いているということです。
つまり、継続動詞「太る」の「~ている」形が、「進行中」ではなく、
「結果の状態」をあらわしています。

この点から、
もっと決め手となるような動詞の分け方があるのではないかと、
様々な分類が行われています。

現在は、「継続動詞」「瞬間動詞」をつかうより、
動作動詞」と「変化動詞」を使う場合が多くなっています。

これは言葉を見ただけで、どんな動詞なのかが、直感的にわかるからです。
そこで、これからは「動作動詞」と「変化動詞」とを使っていきます。

「~ている」形と動詞の分類

動詞は大きく二つに分かれます。

(1)動きのある動詞と(2)動きのない動詞です。

(1)動きのある動詞
(例)食べる、走る、書く、聞く、飛ぶ、ジャンプする・・・・・・

(2)動きのない動詞 : 状態動詞
(例)ある、いる、できる(動詞の可能形)・・・・・・

動きのある動詞の分類(1)動作動詞と(2)変化動詞

動きのある動詞は、
主体の動作に焦点をあてた動作動詞
主体の変化に焦点をあてた変化動詞に分けられます。

動作動詞 : 飲む、読む、見る、作る、電話する・・・・・・

動作動詞に「~ている」をつけると、現在進行形になります。

(例)キムさんがグランドを走っている

変化動詞 : (電気が)つく、(窓が)開く、(信号が)変わる
立つ、座る、死ぬ、横になる・・・・・・

変化動詞に「~ている」をつけると、
(1)変化の結果の状態を維持している、という意味になります

(例)ロンさんはソファーで横になっている

(2)変化の結果が残っている、という意味になります

(例)昼間なのに電気がついている

動詞を図式化すると以下のようになります。

 

 

 

 

「~ている」表現の意味からの分類例

動詞の分類が終わったところで、
「~ている」形を意味で分けていきます。
「~ている」表現の分類の仕方は研究者によって様々です。

ざっくり二つに分ける場合
(1)進行中(2)結果の状態

三つに分ける場合
(2)進行中(2)結果の状態(維持・残存)(3)経歴

吉川武時氏は五つに分けています。
(1)進行中(2)結果の状態(3)繰り返し(4)経験
(5)もとからの状態(これはアスペクトではありません)
(例)山がそびえている。

「~ている」表現が(1)~(5)の、どの意味になるかは
動詞の性質、一緒に使われる副詞(的な語)、文脈など
によって、決まります。

(1)進行中は主に動作動詞が使われます。
(2)結果の状態は主に変化動詞が使われます。
(3)繰り返し(4)経験動詞の種類を問いません

「~ている」表現は、学習者にとってなかなか難しい項目です。
全ての項目を一度で導入することは、避けましょう。

できるだけ分けて導入していくと、頭に入りやすくなります。

ここでは上記の(1)~(5)の例文を見ていきましょう。

「~ている」表現の全体像

1.進行中
(1)キムさんは 今 映画を見ています。
(2)桜の花びらが はらはらと散っています。

2.結果の状態
2-(1)結果の維持
(例)マリさんは曇っているのに日傘をさしている。
(マリさんが「傘をさした」という結果の状態を維持している)
2-(2)結果の残存
(例)道に百円玉が落ちている。
(「百円玉が落ちた」という結果残っている

3.繰り返し

(1)この川は毎年氾濫している。
(2)トムさんは毎日、日記を書いている。

4.経験(経歴)

(1)トムさんは もう5回も富士山に登っている。
(2)この作家は3年前に芥川賞をとっている。

5.もとからの状態
(1)ジムさんは俳優のトムクルーズに似ています。
(2)四万十川はとても澄んでいる。
(3)日本の硬貨は丸い形をしている。

(1)(2)の動詞「似る」「澄む」は ふつう
「似ている」「澄んでいる」の形で使います。

(3)の「(丸い)形をしている」は「(丸い)形をする」では 非文です。
常に「(丸い)形をしている」といったように、「~ている」形にして使います。

こうした、「似ている」「澄んでいる」「(丸い)形をしている」といった動詞は
動きを表していません。

アスペクトは 動きの流れの中で、どの段階に焦点をあてるか、
といった文法形式です。そこで、この「~ている」表現は
アスペクトの「~ている」表現ではないので、注意してくださいね。

次回は「進行中」の「~ている」表現を見ていきます。
ご覧になりたい方は 以下をクリックしてみてください。

http://www.tomojuku.com/blog/teiru2and3/

ではではニゴでした。

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