直接受身・間接受身・持ち主の受身の文法③

直接受身と間接受身

受身は研究者によって、いろいろな分け方があります。
ここでは、わかりやすさを基準に、受身の文法をまとめます。

受身は大きく直接受身と間接受身に分けられます。

【直接受身】:兄は 父に なぐられた。
【間接受身】:私は 妻に 本を 捨てられた。

直接受身とは、主語(兄)が、誰か(父)によって、直接的に何かをされる(なぐられる)ことです。
間接受身とは、主語(私)が、誰か(妻)によって、間接的に何かをされる(本を捨てられる)ことです。

直接受身のグループ    間接受身のグループ

・直接受身         ・間接受身
(直接対象の受身)    ・迷惑の受身
(相手の受身)      ・持ち主の受身
・中立のの受身       ・自動詞の受身

直接受身の定義

①対応する能動態がある
②迷惑の意味はない
(受身文に迷惑の意味があるかどうかは、動詞自体の意味による)
③英語にある

①対応する能動文がある

【能動文】太郎は   ジョンを  なぐった。

【受動文】ジョンは  太郎に   なぐられた。

②迷惑の意味はない

例2、私は 先生に ほめられた。
例3、私は 先生に しかられた。

例2→「ほめる」:動詞自体に迷惑の意味がないため、
受身文にも迷惑の意味はない。
例3→「しかる」:動詞自体に迷惑の意味があるため、
受身文にも迷惑の意味がある。

③英語にある

英語の受身文と本質的に変わらないので、
直接受身は、英語話者にとって、わかりやすい概念だと言われています。

間接受身の定義

①対応する能動文がない。
②迷惑の意味がある
③英語に訳しにくい

①対応する能動文がない。

【能動文】   隣の席の人が 大声で話した。

【受動文】私は 隣の席の人に 大声で話された。

*受動文では、能動文にない「私は」が現れ、主語になっています。
そこで、対応する能動文を持たないと言われます。

*「私は」隣の席の人が「大声で話す」ことによって、
迷惑を受けています。そこで、「迷惑の受身」とも言われます。

*「直接受身:ジョンは太郎に殴られた」の「ジョン」のように、
「私」は、直接被害を受けたわけではありません。
そこで、「間接受身」と言われています。

持ち主の受身

*持ち主の受身は、間接受身のグル-プに入れられたり、
直設受身、間接受身、持ち主の受身、のように、
受身文のもう一つのグループとして、扱われることもあります。

①対応する能動文がない。
②動詞によっては必ずしも迷惑を表さない。

例1、(私は)隣の人に 満員電車で 足を  踏まれた。
例2、(私は)スリに        財布を とられた。
例3、(私は)先生に        息子を けなされた。

*例1の受身文:「足」は私の体の一部分です。
例2の受身文:「財布」は、私の所有物です。
例3の受身文:「息子」は、私の関係者です。
このようなことから、「持ち主の受身」と言われています。

①対応する能動文がない。

【能動文】弟が  私の携帯を    こわした。

【受動文】私は  弟に 携帯を  こわされた。

*能動文の「私の携帯」が、受動文では「私は・・・携帯を」になっており、
対応する能動文を持たないと言えます。

②動詞によっては必ずしも迷惑を表さない

例1、(私は) 田中さんに 日本語を ほめられた。
例2、(私は) 田中さんに 日本語を けなされた。

*持ち主の受身は、間接受身のグループに入れられることが多いのですが、
間接受身と違って、例1のように、必ずしも迷惑の意味を表しません。

持ち主の受身の注意点

例1、(私は)隣の人に 満員電車で 足を    踏まれた。
例2、(私は)田中さんに      パソコンを とられた。
例3、(私は)先生に        息子を   ほめられた。

例1、身体部位を用いた持ち主の受身

【受動文1】(私は)隣の人に 足を  踏まれた。
【受動文2】×私の足が 隣の人に 踏まれた。

*身体部位を用いた持ち主の受身のときは、受動文2は不自然です。

例2、所有物を用いた持ち主の受身

【受動文1】(私は)田中さんに パソコンを こわされた。
【受動文2】 私のパソコンが 田中さんに  こわされた。(←直接受身)

*所有物を用いた持ち主の受身のときは、受動文2も作れます。
しかし、受動文2は、直接受身に変わります。
(なぜなら受動文2は、対応する能動文を持つからです。
能動文:田中さんが私のパソコンをこわした。)

例3、関係者を用いた持ち主の受身

【受動文1】(私は)先生に 息子を ほめられた。
【受動文2】私の息子は 先生に ほめられた。(←直接受身)

*関係者を用いた持ち主の受身のときは、受動文2も作れます。
しかし、受動文2は、直接受身に変わります。
(なぜなら受動文2は、対応する能動文を持つからです。
能動文:先生は 私の息子を ほめた。)

●続きはこちらをご覧ください。
>>自動詞の受身の文法

●受身にできない動詞を知りたい方は、こちらをご覧ください。
>>受身にできない動詞

●間接受身について、もっと詳しく知りたい方は、コチラをご覧ください。
>>もう一歩踏み込んだ間接受身

ではでは ニゴでした。

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