説明表現「~んです」「~のです」(1)

事情説明の「~んです」「~のです」

●状況や事情を説明するときに使う「~んです」「~のです」は、
 会話の中では「~んだ」「~んです」を使います。

●「~んです」の文型を使うときには、必ず何がしかの
<前提>が必要となります。

●その<前提>は、言語化されているときもあり、
 言語化されていないときもあります。

その<前提>とは何なのか、具体例をみていきます。

平叙文の時の「~んです」

(1)雨が降っている。
(2)雨が降っているだ。

(1)は外を見て「雨が降っている」という事実を客観的に述べています。

(2)解釈A:外を見て(雨が降るとは思っていなかったので)
      「えー!雨が降っているんだ。」と驚いています。

(2)解釈B:(喫茶店でぬれた傘を持った人が入ってきたのを見て)
       (傘がない、どうしよう)などといった「思い」
       が湧きあがった結果「「雨が降っているだ」と述べています。

(1)のように、事実を客観的に述べるときには「~んです」は使いません。

(2)は、言語化されていませんが、
発話者の「思い」(傘がない、どうしよう)が、
<前提>となり、自分の気持ちを述べています。

疑問文の時の「~んです」

(1)もう、レポートを書きましたか?
(2)<相手の完成したレポートを見て>
   もう、レポートを書いたですか!?

(1)は、相手にレポートを書いたかどうかの、
   事実を客観的に聞いています。

(2)は、<相手の完成したレポート>が<前提>になっています。
   それを見て、「早いなあ!」という思いを述べたくて、
   「もう、レポートを書いたですか!?」
   と、言っています。

つまり、「~んです」は、ある<前提>があり、
それを見たり、聞いたりした結果、話者の心の中に
「話したい」という思いが生じたときに使います。

ですから、会話には欠かせない表現です。

疑問詞を使った疑問文の時の「~んです」

<病院の診察室で>
(1)医者:どうしましたか?
   患者:ころんだんです。
<包帯ぐるぐる巻きの友だちを見て>
(2)友人A:どうしたですか!?
   友人B:ころんだです。

(1)の場合は、医者と患者の会話です。
   医者は、一日に大勢の患者を診察しますから、
   いちいち、大げさに、
   「どうしたですか?」とは聴きません。

   医者は事実を客観的に見ることが求められています。
   そこで、「どうしましたか?」と尋ねています。

(2)の場合は、友人Bのただならぬ状況<=前提>を見て、
   心配する思いが湧きあがり、
   「どうしたですか?」と、尋ねています。

このように、「~んです」は、
話し手の心の中に
(1)「相手のことを尋ねたくなる状況<前提>」
(2)「自分のことを話したくなる状況<前提>」
が、あったときに、用いる表現です。

●説明表現「~んです」の意味や用法の分類を
知りたい方はコチラをクリックしてください。 
>>説明表現「~んです」「~のです」(2)

ではでは ニゴでした。

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