意志動詞と無意志動詞

動詞の分類

動詞はいろいろな切り口で、分類することができます。

例えば、
状態性、方向性、自動詞か他動詞か、
どんな格助詞と用いられるのか、などなど。

ここでは、意志性にフォーカスを当てていきます。

意志動詞と無意志動詞

動詞は意志的な意味を持つことができるかどうかで、
分けることがあります。

(1)健康のため、毎日野菜を食べています。
(2)運命の人と出会った。

(1)は意志動詞
(2)は無意志動詞です。

意志動詞: 意志的な意味を持つことができ、
その動作・行為を自分でコントロールすることができます。

無意志動詞: 意志的な行為を表すことができません。
その動作・行為はコントロールできません。

いろいろな無意志動詞

(1)机の上に財布があったわよ。
(2)もう春なのに、昨日から雪が降っている。

無意志動詞は、その動作・行為をコントロールできませんから、
人が主語にならない「ある」や自然現象を表す動詞もここに含まれます。

(3)授業があまりにもつまらなくて、居眠りしちゃった。
(4)寒いのか、子猫はずっと震えていた。
(5)あいつの態度、むかつくー。
(6)こういうことって、気がめいるよね。

人の生理現象心理現象も自分でコントロールできませんから、
無意志動詞となります。

(7)ようやく子供を授かりました。
(8)ランチ券ありがとう。得しちゃった。

(7)(8)のように、受身的な意味を持つ動詞
無意志動詞になります。

(8)理想の女性にようやく巡り会えた。
(9)コンサートの日が、仕事とぶつかった・・・何てことだ。

(8)(9)のように、偶然性を表す動詞
無意志動詞となります。

(10)一キロは泳げます

(10)のように可能動詞も無意志動詞です。

意志動詞でも、無意志的に使える

(11)明日から、毎日泳ぐぞ!
(12)ラブレターを書こうかなあ・・・。

(11)(12)のような、
これは、意志動詞だというものでも、
(13)(14)のように、
無意志的にも使えます。

(13)気づいたら、1キロも泳いでいた。
(14)前の住所を書いちゃった。どうしよう。

意志動詞・無意志動詞の両方に使われる動詞

意志的
(15)キムさんは、頑張って弁護士になった。
(16)こんなことは、早く忘れよう。
(17)また、あいつか・・・。あした雷を落としてやれ。

無意志的
(15’)5時になりました。(よい子の皆さんは家へ帰りましょう)
(16’)この人の名前は・・・・忘れちゃった・・・。
(17’)きのう、トイレで財布を落としたようだ。

「なる」「忘れる」「落とす」などを例にあげてみましたが、
まだまだ、たくさんありそうです。

意志動詞・無意志動詞の区別が必要なとき

日本語の表現の中には、
意志動詞とともに使う、無意志動詞とともに使う
というものがあります。

●話し手の意志を表す表現
「~(し)よう」「~つもりだ」「~ことにする」
などには、意志動詞を使います。

●「~ているところだ」「~ておく」「~てあげる」
などの表現にも、無意志動詞は使えません。

「~ておく」については、こちらをご覧ください。
 >>「~ておく」

●「命令」「禁止」「願望」を表す表現も、
意志的な表現ともいえるので、
意志動詞を使います。

ただし、「否定の禁止」や「呪いの願望」には
使えることもあります。

・あれこれ迷うな。
・もっと苦しめ。

日本語を教えるときに、
あまり細かい文法を教えることは
かえってマイナスになります。
(目的は自然な日本語を話せるようになることですから)

あまりこれは意志動詞で、これは無意志動詞だ、と
神経質にならない方がいいですね。

ではでは ニゴでした

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