「~てくる、~ていく」表現(4)

前回は、(4)移動の行先、まで見てきました。
ご覧になりたい方はコチラをクリックしてください。
>>「~てくる、~ていく」表現(3)

「~てくる」「~ていく」表現の目次

これから、「~てくる」「~ていく」を、以下の順番で見ていきます。

(1)移動の方向を表す

(1)順次動作
(2)平行動作
(3)移動するときの身なり
(4)移動の行先
1.主体の移動 2.対象の移動

ここからが、今回の解説です。

(2)時間の経過

(1)動作の継続

今までは、
「移動の方向」=話し手に近づくのか、遠ざかるのか
を見てきました。

次は「時間の経過」について、見ていきます。

「時間の経過」とは、時間の流れの中で、
話題にしている時点を、基準にします。

ある状態が、現在まで継続してきたことを「~てくる」
ある状態が、これまでも継続してゆくことを「~ていく」
で表します。
話題(基準点)

→ 「~てくる」→  → 「~ていく」 →

「~生きてきた」      「~生きていく」
「~暮らしてきた」     「~暮らしていく」
「~勤めてきた」      「~勤めていく」
「~生活してきた」     「~生活していく」
「~続けてきた」      「~続けていく」など・・・。

(例)これまでは一介のサラリーマンとして生きてきた。
これからは、作家として生きていくつもりだ。
(例)彼はこれまでずっと絵を描き続けてきた。
きっと死ぬまで描き続けるのだろう。

●基準点が、現在、過去、未来、のどこにあるかによって、
「~てくる」「~ていく」の形が変わります。

 基準点       過去   現在   未来
未来            Vてくる→→Vていく
現在        Vてきた→→Vていく
過去 Vてきていた→→Vていった

(3)変化(無↔有、小↔大、隠↔顕)

(1)無意志動詞+~てくる、~ていく

●無意志動詞「なる、変わる」などに、「~てくる」「~ていく」が付きます。

「~てくる」:別の状態から、今の状態へと変化します。
「~ていく」:今の状態が、別の状態へと変化します。

→ 「~てくる」→  → 「~ていく」→

(例)少し太ってきたから、ダイエットでも始めようか。
地球温暖化が進み、どんどん暑くなっていく。
日本語を学ぶ人が増えてきました

●上記の例文を見ると分かるように、
変化が徐々に進んでいく様子を表しています。
○この強風で、桜の花びらが、だんだんなくなっていく。
×この強風で、桜の花びらが、すっかりなくなっていく。

(2)現象の発生(無→有)

●「~てくる」のみ

●ある現象が現れる場合に「~てくる」が用いられます。

(例)思い出が あふれ出てきた。
様々なアイデアが 浮かんできた。

(3)知覚動詞+~てくる、~ていく

知覚動詞「聞こえる、見える、においがする、・・・」などに
「~てくる」「~ていく」が付くと、
その音やにおいが話者に向かって届くことを表します。

(例)歩いていると、ウナギを焼くいい匂いがしてきた。
隣の家から、ピアノの音が聞こえてきた。
富士山が 見えてきた。

次回は「~てくる、~ていく」の、
その他の意味・用法・注意点などを見ていきます。
>>「~てくる、~ていく」表現(5)

ではでは ニゴでした。

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