有情の受身と非情の受身

直接受身と間接受身

今までは、間接受身と直接受身という分け方で見てきました。
これは、受け手(主語)が、動作主から、直接影響を受けるのか、
間接的に受けるのかというくくりでした。

直接受身:アンさんは 先生に     ほめられました。
間接受身:(私は)  先生に 息子を ほめられました。

●アンさん(主語・受け手)が、先生(動作主)から、直接、ほめられましたから、
直接受身と言います。

●私は(主語・受け手)は、先生(動作主)から、自分が直接ほめられたのではありません。
自分の息子がほめられたのです。つまり、間接的にほめられたということで、
間接受身と言います。

有情の受身と非情の受身

受け手(主語)が動作主からどんな影響の受け方をするのか、が直接・間接受身でした。
有情の受身と非情の受身は受け手(主語)が、生き物なのか、物・事なのかで分けます。

人や動物が、主語になる受身文を「有情の受身」
物や事が、 主語になる受身文を「非情の受身」と言います。

日本の受身の基本は、迷惑を表す有情の受け身だと言われています。
友情の受身は、会話文で多く使われ、
非情の受身は、文章やスピーチの中で多く使われます。

【有情の受身】:私は 犬に かまれた。
【非情の受身】:この雑誌は 二十代の女性に 読まれている。

有情の受身

有情の受身、特に人を主語にした受身文は、物・事を主語にした受身に比べ、
迷惑の意味を表すことが多いと言われています。

しかし、受身とは、自分が相手方から一方的に動作・影響を受けた時の、
心の動きを述べた文です。ですから、それを迷惑と感じるのか、
恩恵と感じるのかは、多くは個々の動詞の意味によります。

1、私は 父に たたかれた。(迷惑)
2、私は 友人に 助けられた。(恩恵)
3、私は ウェイターに 水を こぼされた。(迷惑)
4、私は 友人に 花束を 贈られた。(恩恵)
5、私は 駅員に 背中を 押された。(迷惑)
6、私は 先生に 発音を ほめられた。(恩恵)

有情の受身は、人や動物が主語になりますから、
日常生活の会話の中で、よく使われます。

そこで、初級クラスでは 有情の受身から導入します。

非情の受身

【受動文】:村上春樹の本は 世界中の人に 読まれています。
【能動文】:世界中の人が 村上春樹の本 読んでいます。

非情の受身の主語は 対応するの能動文の格です。
これは、英語と同じで、英語を学習したことのある人には
わかりやすいと言えます。

主語になる物・事には、感情がないので、
非情の受身は、多くは客観的な意味を表します。
そこで、ニュース、新聞、本で多用されます。

7、玄関のカギは 泥棒に こわされた。(迷惑)
8、私の意見は ジョンさんに 反対された。(迷惑)

非情の受身は、感情のない物・事が、主語となるため、
多くは客観的意味を表しますが、7,8のように
非情の受身でも、迷惑な意味を表すことがあります。

続きは こちらをご覧ください。
>>非情の受身の動作主

ではでは ニゴでした。

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