説明表現「~んです」「~のです」の誤用Ⅲ

説明表現「~んです」の注意すべき点

「~んです」は、非難したり、強い主張を述べるときにも
使われるので、むやみに使うと、
聞き手に不快感を与えてしまいます。

本当はとても謙虚な学生なのに、
「~んです」の使い方を間違えてしまうと、
相手から「押しつけがましい人だ」
と、誤解を受けてしまう可能性があります。

私たち日本語教師は、このことを心しておきましょう。

では、「~んです」をどんな時に使うと
「押しつけがましい人だ」と思われてしまうのでしょうか。

もう、何度も言っていることですが、
「~んです」は、<前提>を必要とします。

この前提は、話し手と聞き手に共有されていることが大切です。
もし、共有されておらず、一方的では意味がありません。

(1)(あなたは)医者になるんだ!
(2)もう、帰るんですか!

共有した前提がないと、反論の余地を許さない、
(1)命令や(2)非難を表します。

これについては以下でも書いています。

>>説明表現「~んです」「~のです」(3)
の(5)命令(6)非難

前提についての話し手、聞き手の共有

(1)A:買うですか?
B:えっ???

(2)A:素敵なブローチですね。
B:そうですね。買うですか。
A:どうしようかなあ。

(1)では、
Aさんの心の中には<Bさんが、今見ているブローチは素敵だなあ>
といった<前提>があります。

しかし、Bさんは、Aさんの<前提>を知りません。

すると、BさんがAさんの話を聞いたときには、
唐突であるという印象を受けます。
場合によっては、責められている印象を持たれてしまいます。

(2)のように、Aさん、Bさん両者に共有された<前提>があるときには
何の問題もありません。

(3)A:三社祭、行かないですか?
B:えっ?(行かないと何か問題でも・・・)

(4)A:あしたは、三社祭ですね。
B:そうですね。
A:Bさんは、行かないですか。
B:ええ。残念ですが、ちょっと用事があって。

(1)(2)と同じ例です。
(3)のように、共有した前提がないときには、
相手にとって不愉快な印象を与えます。

話し手Aさんが、自分の心の中にある<前提>を
聞き手であるBさんに、一方的に押し付けることになるからです。

(4)のように、話し手、聞き手がお互いに<前提>を共有していることが
やはり、大切です。

●話し手と聞き手の間に共有された<前提>なしに、
「~んです」表現が使われると、その前提を持っていない方が、
その前提を強引に押しつけられている感じがします。

「~んです」表現を間違って使うと、押しつけがましい感じがする、
と言われる原因は、ここにあります。

指導するときの参考にしていただければ、幸いです。

ではでは ニゴでした。

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