「あげる/さしあげる」の注意点

「あげる/さしあげる」で気を付けなければならない点

ある教室での一コマです。

学生:先生、これ、おみやげです。中国のお茶をあげます。
教師:あ、ありがとう・・・・。

お土産を渡してくれるのですから、とてもいい学生なのでしょう。
でも、ちょっと失礼な感じですね。

「あげる」を、目上の人に使う「さしあげる」にかえても、
非礼は、さほど緩和されません。

×「先生、中国のお茶をさしあげます。」

●目上の人と話すとき、
「さしあげる」を直接使うと、
とても押しつけがましい印象をもたれます。
そこで、学生には

*「さしあげる」は目上の人には直接使わない

と、指導することが大切です。

×「先生、中国のお茶をさしあげます。」
○「先生、これ、中国のお茶です。どうぞ。」

つまり、「あげます/さしあげます」は、
目上の人、親しくない人に向かっては、直接使ってはいけないのです。

他の人に、話すときなら、何の問題もありません。

○学生A:きのう、中国のお茶を、田中先生にさしあげました。
大家:そうですか。先生は喜ばれたことでしょう。

友達との「あげる」について

<例1>
A:明日、引っ越しなんだって?荷物、運ぶよ。
B:ありがとう。
<例2>
A:明日、引っ越しなんだって?荷物、運んであげるよ。
B:ありがとう。

例1と例2を比べてみましょう。
例2の方が、自然です。
運んであげる」には、
相手のためを思って手伝おう、
という、話し手の積極的な気持ちが表れています。

ところが、目上の人に使うと、とたんに
失礼な表現になります。

保証人:日曜日、引っ越しなんだよ。
学 生:それは大変ですね。手伝ってさしあげましょうか。

「~てあげる/さしあげる」は、相手に恩恵を与える表現です。

親しい友達になら、積極的ないい意味となります。
でも、敬意を払うべき相手、あるいは、
親しくない人に対して、恩義を売ることは
日本では、とても失礼な物言いになってしまうのです。

学生がこのことを知らないと、
「さしあげる」は目上の人に対して、
恩恵を示す表現だと、勘違いしてしまいます。
そして、上記の例のように、
保証人を不愉快な気持ちにさせてしまうのです。

そんなことの起こらないように、
心して、学びたいものです。

>>「やる/あげる/さしあげる」②について、
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

ではでは ニゴでした。

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