「うれしい」「楽しい」学生の誤用

「うれしい」と「楽しい」の学生の誤用例

*ここに学生のよく間違う誤用例を4つ挙げます。
どうして間違えなのか、ちょっと考えてみてください。
解答は下の方に書きました。
頭の体操と思って、やってみてくださいね。

 

誤用例1(「うれしい」vs「楽しい」)

オウ:先生、キムさんは昨日、久しぶりにチンさんと会えました。
教師:それは よかったですね。
キムさんはチンさんに、ずっと会いたがっていましたものね。
オウ:はい。キムさんは とても うれしかったです

 

誤用例2(「うれしい」vs「楽しい」)

キム:先生、きのう 初めてアルバイト代をもらいました。
とても楽しかったです
教師:(えっ?楽しかった? ここは「うれしかった」でしょう。)

 

誤用例3(「うれしい」vs「楽しい」)

ソウ:先生、この学期は とても うれしかったです
教師:(えっ?ここは「楽しかった」でしょう。)

 

誤用例4(「うれしい」vs「楽しい」)

マリ:先生、きのう陳さんの家へ遊びに行きました。
教師:それは よかったですね。
マリ:陳さんは みんなに うれしい話をしてくれました
教師:(えっ?ここは「楽しい」でしょう。)

 

「うれしい」と「楽しい」誤用の原因

学生は上記の例のように、
「うれしい」と「楽しい」を間違うことがあります。
(例1)から(例4)の間違えた原因を考えてみましょう。

(誤用例1)
オウ:先生、キムさんは昨日、久しぶりにチンさんと会えました。
教師:それは よかったですね。
キムさんはチンさんに、ずっと会いたがっていましたものね。
オウ:はい。キムさんは とても うれしかったです

「うれしい/楽しい」は 話し手の感情を表しています。
「うれしい/楽しい」は話し手自身の気持ちしか表せません

(×)キムさんは とても うれしかったです。

(〇)キムさんは とても うれしそうでした
(〇)キムさんは とても うれしかった思います

上記のように、第三者の気持ちを述べたいときには、
裸のままの「うれしい」は使えません。

「うれしそうでした」「うれしかったと思います」などのように、
その状況に合った、表現を付け加えなければなりません。

(誤用例2)
キム:先生、きのう 初めてアルバイト代をもらいました。
とても楽しかったです

「うれしい」はその時の感情を、
「楽しい」は持続している感情を表します。

(例1)<握手をしながら>
お目にかかれて、とてもうれしいです。

(例2)
A:キムさん、すごい汗ですね。
B:さっきまで、みんなとサッカーをしていたんですよ。
とても楽しかったです。

(例1)を見てもわかるように、「うれしい」は
その時の気持ちを表します。会ったその時に、うれしくなったのです。

それに比べて、「楽しい」は持続した感情を表します。
サッカーをしている間中、ずっと楽しかったのです。

(誤用例3)
ソウ:先生、この学期は とても うれしかったです

「楽しい」は本人がその状況の中に身を置いて、
自ら参加して、ワクワクしていると感じているときに使います。

それに比べて「うれしい」は、その状況に接したその時に感じる
即自的な気持ちです。

(例3)のソウさんは、この3か月の間、先生のクラス(授業)に
参加して、とても楽しかったことを表明しています。

「楽しい」は自分が行動をすることによって得られる喜びです。
それに比べて「うれしい」は「手紙をもらってうれしかった」のように、
その喜びが外からやってきたものでも使えます。

(誤用例4)
マリ:先生、きのう陳さんの家へ遊びに行きました。
教師:それは よかったですね。
マリ:陳さんは みんなに うれしい話をしてくれました

「うれしい」は自分の個人的な感情を表します。
ここでは、「みんなに」という言葉が入っていますから、
「うれしい」は使えませんね。

それに対して
「楽しい」は個人の感情ではなく、
<「楽しい」という気持ちは、こういうものです。>
といった、一般的な感情も表すことができます。

つまり「その話は どんな話なんですか」と問われれば、
「楽しい話です」と答えられる場合のように、
「楽しい」は、一般的な属性を表せます。

そこで、
マリ:陳さんは 楽しい話をしてくれました。

の場合、①「マリさん個人にとって、楽しい話」
②「一般的に見て、誰にとっても楽しい話」という
二つの意味が表せます。

 

頭の体操は、ここまでです。
いかがでしたか?

「うれしい」「楽しい」は
初級で、しかも、割と早い段階で学ぶ形容詞です。

ですが、使い分けは、意外に難しいですね。
次回は 語彙の導入について考えてみたいと思います。

「うれしい」と「楽しい」のまとめ

1.「うれしい」も「楽しい」も、第三者の気持ちは表せない。
自分の気持ちを表す。

(〇)(私は)うれしいです。    (〇)(私は)楽しいです。
(×)ロンさんは うれしいです。  (×)ロンさんは 楽しいです。

2.「うれしい」は瞬間的な喜びを、「楽しい」は継続的な喜びを表す。

(例)一瞬だが、ジョニーディップを生で見られて、うれしかった。
(例)今日のサッカーの試合は楽しかった。

3.「うれしい」は手紙をもらったり、好きな人と会ったり、
外からうれしくなることがやってくる。

「楽しい」は自分で参加して、体験して楽しむ。

(例)キムさんから絵葉書をもらって、とてもうれしかった。
(例)野球は 見るより、自分でやったほうが楽しい。

 

ではではニゴでした。

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